こんにちは 理学療法士の石田ゆうやです。
内反変形が強い膝OA
どうにかしたいですよね?
整形外科にいると、
重度の内反変形を伴う変形性膝関節症の患者さんがたくさん来ます。
変形性膝関節症はその変形度合いを1-4までで分類しています。
(Kellgren-Laurence分類)
もっとも変形が強い分類4では、ほとんど人ががOPEを薦めるかと思います。
(手術療法を選択するのが基本と言われているのでそりゃまあ当然)
ただ、「手術はしたくない」という患者さんも一定数いるのが現状です。
そういうとき、私達はどうしましょう?
骨の変形をどうにかすることは療法士はできません。(それは基本的に医師の仕事です)
“今の変形の状態の中でも、できるだけ膝への荷重負荷を減らしてあげること。”
これが私達ができる大きな役目です。
今回は「重度の膝OAの歩行をどう変えるか」についてお伝えします。
“変形の強くてなかなか歩行時の膝の痛みがとれない”
“膝痛の人をもっと助けたい”
あなたがもしそう思うなら、この記事はとても役に立つと思いますので、
最後まで是非読んでください。
変形性膝関節症の変形の度合いについて
先程話した変形性膝関節症の変形度合いの分類ですが、
改めておさらいしておきましょう。
Kellgren-Laurence分類について知らなかったら是非この機会に知っておきましょう。
基本的にグレード1-2に関しては運動療法やインソールでかなり痛みは変わります。
特にグレード2の患者さんは歩行が崩れやすい人が多いので、
私達セラピストの介入が非常に重要になりますね。
グレード3以降になってくると可動域制限も強くなり、徒手療法でどうにかなるレベルじゃなくなってきます。
最も重度であるグレード4に関しては除痛のために手術をしたほうがいいケースが多いです。
まずはグレード3以降にさせないことが大事ですよね?
グレード3以降になると患者さんも辛いですし、セラピストも治療が大変です。
大きく変形しない内にできるだけ偏位を抑えてあげましょう。
私が介入したケース
◉Kellgren-Laurence分類グレード4
◉膝関節屈曲100、伸展-20
◉歩行時の左右へのブレ(跛行)が非常に強い
◉股関節や体幹の動きが乏しい
左右に大きくブレて歩くペンギンみたいな感じですね。
本人はOPEはしたくないとのこと。
私は
「変形は変わらないと思いますし、痛みがどこまで落とせるかわからないですが、痛みが強くならないような動きをしっかり作りましょう」
と伝えました。
(私は割りと正直に言ってしまいます)
結果としては、
自分の見立て以上に歩行は変化し、立脚時の強い膝痛は大きく軽減しました。
私はこの患者さんにインソールは入れてません。
徒手療法もほとんど行っていません。
運動療法を中心に行いました。 (私の運動療法は少しピラティスの要素が多いです)
患者さんがしっかり運動を頑張ってくれたことが大きな要素ですが、
日常的には痛みがほとんどなく、最終的に杖なしでも歩けるようになりました。
(見立てを大きく超えたので私が一番驚きました)
この時の介入で私が大事にしていたのは
「可動域も変形も変えられないから、股関節と体幹の動きを出してコントロールさせる」
でした。
ダイナミックに運動を制御しながら、
痛みのない運動を中枢神経系に学習させていくエクササイズが効果としてとても高かったです。
単関節筋もほとんどやっていないです。
- 上部体幹の並進運動
- 股関節の伸展、開排運動
- 骨盤前傾運動
- 脊柱の回旋運動
これらを中心に繰り返し実施したという感じです。
主観と臨床経験のものですが、
“痛みのない運動を繰り返し行い、膝にストレスがかかる動きを減らしていくこと”
これが重度の膝OAの動きや痛みを変える大きなポイントの1つなのではないかと思います。
重度の膝OAの治療戦略
シンプルに超大事なこと言うと、
“変形した関節をどうにかこうにかしようとしないこと”
です。
KL分類4で可動域制限が非常に強い患者さんだと、
治療頻度や変形度合いから考えてもなかなか難しいです。
グレード4の変形をどうにかするなら、それはもう医師の仕事です。
私達が変えるべきポイントは、
「膝にかかる歩行のストレスと屈曲モーメントと内反モーメント」
これらを変えることです。
◉股関節を伸展させる
◉骨盤を前傾させる
◉脊柱を伸展させる
◉脊柱の回旋を増やす
器質的な変化が起こっている部位(今回でいうと膝関節)を変えるのではなく、
機能不全が起きている身体部位にアプローチしていくことで、
結果的に変形した膝へのストレスが軽減します。
インソールなどを使う場合は、
まずは上記の4つをしっかりコントロールできている状態にしてから処方しましょう。
いきなり足部から矯正しても、コントロールできるフィジカルがない状態なので、
その矯正がかえって強い突き上げ感に繋がったり、偏位の増大に繋がる可能性があります。
正直まだまだデータは少ないです。
いずれも解剖学、運動学の知識が重要になってきます。
勉強は一生終わらないですね。
私も頑張ります!
是非膝OAの患者さんがいらっしゃったらチェックしてみてください。
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