こんにちは 理学療法士の石田ゆうやです。
あっ!先生。
なんかふくらはぎ〜太もも後ろあたりから違和感はあるんですよね。
特に椅子に座るときに。
という不思議な主訴をもらったとき、あなたはなにを考えますか?
可動域は施術前から左右差なし。
今の主訴を解剖学的用語に変えると
「CKCのスクワットの遠心性収縮時に右下腿後面~大腿後面に違和感がある」
です。
↑
CKC(Closed Kinetic Chain)は荷重がかかっている時です!
いろんな可能性がありますが、
膝関節の問題で主訴が発生したので、
優先的に膝関節の問題から評価していきます。
すると「下腿外旋症候群」が問題としてあがりました。
臨床上でとても重要な下腿外旋症候群、
今回はこれをどのように評価してどのように対処していくかを説明していきます。
現場レベルではとても多いですし、
上記のようなふわっとした主訴から始まることが多いのでいまいちわからない人も多いので、
この機会に少しでもクリアにしていきましょう。
可動域の質を評価してみよう
今回の患者さんは私の患者さんの例です。
矢状面状の可動域に関しては問題ないです。
生活上困らない可動域まで改善していました。
なので可動域を求めることはこれ以上しません。
(年齢や体重から考えて正座などの深屈曲は推奨せす)
主訴の問題を考えた時
「膝関節の可動域の質」を考えることにしました。
すると、
スクリューホームムーブメントが崩れていることが判明!
ところで、
スクリューホームムーブメントってどうやって評価するの?
スクリューホームムーブメントの評価
・Q-angle(上前腸骨棘と膝蓋骨中心から結んだ線と脛骨粗面から膝蓋骨中心を結んだ線がなす角)の評価
・脛骨粗面を触診したまま膝の屈曲伸展を行う(脛骨の回旋を追う)
・端座位で脛骨の回旋を他動的に動かして健側との左右差を比較する
です。
明らかに健側と比較して内旋可動域が低下している場合は下腿外旋位として捉えましょう。
ただし。
・Q-angleは、
前額面の変形や前捻角、大腿膝蓋関節の偏位が測定値を左右するため
個人差も大きく、それらを考慮した解釈が重要であること。
・スクリューホームムーブメントは外旋型・内旋型・終末内旋型に分かれること。構造的変化・靭帯の緊張の変化によってスクリューホームムーブメントが変化するということ
この知識も入れておくことが大事です。
そうなるともっと細い評価が必要になりますね。
さらに必要な検査としては
ACL/LCL靭帯緩みチェック(スクリューホームの崩れの最初の構造的破綻) 脛骨の回旋不安定性テスト 大腿骨、脛骨のアライメントの評価(股関節の回旋可動域) 膝関節周囲の筋肉、関節包の緊張の評価足部機能の評価(距骨下関節と下腿との関係性)
これらを組み合わせると正確性が大幅に増します。
加えてOKCとCKCで分けて評価すると、
より臨床応用ができます。
単純な膝の屈伸では痛くないけど歩行時には痛い、、、なんていう人はCKCの動きをよく確認してみましょう。
基本的に歩いたり立ち座りするという動作はCKCですからね。
以上の評価を行い、今回のクライアントの下腿外旋状態を評価しました。
仮説としては
「下腿外旋位はまだ残存。そのままの軌道でCKCスクワット動作において違和感が出てしまう」
と予測して施術を行いました。
つまり前回の施術では取りきれなかった部分ですね。
下腿内旋運動の自主トレだけでなんとかなると思っていたけどダメでした。
歩行と下腿外旋症候群と膝OAの関係性
lateral thrustは有名ですが、
下腿外旋症候群と歩行の関係性を知っている人はまだ少ないと思います。
歩行分析は回旋を評価するのが難しいので、私も正直自信ないです・・・
なのでこういうときは静的評価をしっかりします。
軽度膝OA群は荷重応答期から立脚中期の下腿の外旋角速度が有意に小さい重度膝OA群は立脚期の両肩峰傾斜,下腿傾斜,膝関節内反角度が有意に大きい
となっています。
つまり膝OAの初期の段階では下腿外旋。
重度になるとlateral thrustに移行していくと捉えましょう。
そしてもう一つポイントは立脚の前半相に下腿外旋が起こる。
なのでこの時期に下腿外旋を止めるようにすればOKということです!
下腿外旋症候群の治療ポイント
下腿外旋の定義は
「屈曲域での下腿外旋、伸展域でのわずかな下腿外旋、伸展域での脛骨外方偏位」
です。
なのでそれらに関する筋肉を触診して評価していきましょう。
多くの場合は
・内側ハムストリングス
・外側ハムストリングス
・腓腹筋内側頭
・腓腹筋外側頭
が問題になりやすいです。
膝関節は股関節と足関節の回旋のストレスもダイレクトに受けるので、
上下の関節の評価もしましょう。
今回の患者さんの下腿外旋症候群は
・外側広筋、腸脛靭帯、大腿二頭筋の癒着・大腿二頭筋と腓腹筋外側頭の癒着
でした。
つまり大腿部〜下腿までの外側構成体が問題となっているケースです。
なのでここにしっかりとこの部分に徒手療法を加え、丁寧に組織間をリリースしました。
(組織間リリースについてはここでは割愛します。)
結果として、椅子での立ち座りでも違和感がなくなりました。
(仮説と検証が合ったときはホッとしますね)
下腿外旋症候群のまとめ
- 可動域の質(スクリューホームムーブメント)を知る
- 歩行は立脚初期から中期の状態を特に評価する
- 下腿外旋に関わる筋肉を知る
- CKC運動まで行うことが大事
書き出してみると随分基礎的なことしか書いてないなと思いますが。
結局これがめちゃくちゃ大事になります!
私自身も当たり前のようにできていると思っていたけど、
足りてない部分は多かったです。
是非患者さんから立ち座りでの違和感などの主訴がありましたら、
今回の評価を試してみてください。
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