こんにちは 理学療法士の石田ゆうやです。
「この人の膝は不安定だ」
「インソールを入れたら安定した」
そもそも安定ってなんだ?
そう思った人はいませんか?
普段の臨床でも何気なく「安定」という言葉は使うでしょうし、
テキストレベルにも何度となく出てきます。
そんな「安定」ですが
なにをもって安定と言えるんでしょうか?
余計な動きがなければ安定?
止まっていれば安定?
今回は、動作時における安定についてお話します。
今まで、なんとなく「安定しているかなぁ」という感じをもう少し明確にできれば、
より評価の精度も上がり、患者さんの改善への近道になると思います。
安定というのは2種類存在します
安定といっても、なんのことをいっているのかよくわからない
そんな人も多いはず。
(私もそうでした)
「動作が安定しています」
何を持って安定していると判断しているんだろう?
まずは安定には2種類存在します。
静的な安定
→立位、片脚立位など支持基底面の中で収まるような姿勢制御。 主に骨、靭帯が担います。
動的な安定
→歩行やジャンプ、ステップ動作など、支持基底面が変化する中でコントロールする姿勢制御。 主に筋肉が担います。(もちろん靭帯も関わります)
どちらか一方が安定していてもダメです。
静的も動的も制御できてはじめて身体に余計な負荷のかからない状態になります。
評価において、立位や片脚立位が安定しているだけでは、
「この人は安定して負担のない動作ができる」
という判断をしてはいけません。
特に歩行時に下肢になにかしらの症状がある方に関しては、
静的には安定していて痛みはないが、動的にはまだ不安定性があり痛みが出るというケースもあります。
フォームソティックス・メディカルを始めとしたインソールも、
歩行や立位において崩れない安定性を目指すために存在しています。
インソールを入れても、
その場で安定したから大丈夫と安心してはいけませんよ。
立位だけでなく歩行もしっかり確認しましょう!
確かに、フォームソティックス・メディカルなら入れるだけで立位アライメントはかなり変わりますが、
歩行において骨盤や上部体幹のブレなどが残っている可能性も若干あります。
(もちろん歩行もかなり変わりますけどね)
動的安定には体幹や骨盤帯周囲の筋肉のコントロールも必要になるので、
動作を見つつ運動療法も行っていかなければなりません。
動的安定性を得るには運動療法が大事
静的安定性はインソールでかなり補正できます。
特にフォームソティックス・メディカルは足部からのアライメント修正にはとても強いです。
動的安定性に関しては、筋肉のコントロールが重要になるため、
どうしてもインソールだけでは完結が難しいです。
そのために必要なのが、
運動療法によるモーターコントロールの強化です。
筋肉はただ収縮強化させて鍛えるだけでは動作時に上手く機能しません。
自由に代償動作なく身体をコントロールする柔軟性が必要です。
柔軟性と聞くと、筋肉の柔らかさとか、高い可動性をイメージするかと思いますが、
柔軟性というのは
「関節可動域の範囲内を自由に代償なくコントロールできること」
です。
これは静的アライメントを整えるだけでは改善は難しいです。
そしてただ筋力強化をするだけでも難しいです。
エクササイズなどの運動療法を介して正しく可動域内を動かすことができるようになることで、
身体は崩れなくなります。
例えば、
ランジの肢位で回旋動作をなどをしてみましょう。
モーターコントロールが上手くいかない人は、代償が入ってknee-inしたり、骨盤が外方偏位したりします。
それをしっかりコントロールしながら行うことで、崩れることなく動作を遂行できます。
(もちろん足部の静的な崩れがある状態でこれをやっても良い効果は得られないので、エクササイズを行う際は先にインソールで静的安定性を向上させてから行うことをおすすめします)
今回お話している運動療法は、
組織の機能改善のための運動療法というよりは、動作改善のための運動療法です。
今後は動作改善のための記事も増やしていこうと思います。
あなたが扱うインソールをより活かすためにも、
モーターコントロール改善のための運動療法を取り入れていきましょう。
それが動的安定性に繋がっていきます。
おさらいです。
安定というのは
静的安定性
動的安定性
両方があって初めて成り立ちます。
片方だけではだめです。
動的安定性は
「可動域内を自由にコントロールできる」筋肉の柔軟性、モーターコントロールが必要になります。
それを養うには、運動療法が必須です。
もし、インソールを入れても動きにブレがあったり、痛みがまだ残っている場合は、
モーターコントロールが不十分の箇所があるかも知れません。
インソールの効果を最大限に引き出すためにも、運動療法も積極的に活用していきましょう。
次回は骨盤帯のモーターコントロールに必要なエクササイズについてお話します。
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