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欲しいもの vs 必要なもの… 仕事への満足度の秘訣?

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ある仕事があなたに100%あうかどうかは働き始めなければわかりませんが、その仕事であなたが成功するための要素を持っているのか、そのポテンシャルを知るために参考になる事柄がいくつかあります。

今日は少し哲学的に、私が将来のキャリアへの助言を求める生徒や同僚に話すいくつかの要素をもとに話をしていきたいと思います。

このことについて話すことで、その仕事のオファーがあなたに合致しているか判断できるようにします。

最も一般的な質問:「この仕事に就くべきか」

最も一般的な回答:「それは__による」

仕事のオファーを受け入れるかどうかはただのプロフェッショナルとしての選択にとどまりません。その判断はプライベートと総合的なQOLに直結する、大変重要なものです。

これまでにいくつもの論文やビジネスフレームワークで仕事の特定の要素と、それが職務満足度、職務遂行能力、個人の幸福度に与える影響を報告しています。

欲しいもの vs 必要なもの

まず、「欲しいもの」「必要なもの」の概念は、私たちの意思決定、優先事項を理解する上での助けとなり、個人満足度の向上に大きく貢献します。

必要なもの :必須事項。これらは譲歩不可能な事項であり、仕事のオファーを受け入れるうえで最低限満たしていなければいけない条件です。

欲しいもの:欲望。必須事項を超えた先にある希望。
これらは「エンハンサー(促進剤)」であり、個人の満足度と達成度を満たすためのものです。

一部の「必要なもの」は普遍的である一方、他の物は個々人によって異なることが多でしょう。

「欲しいもの」に目を移すと、仕事の適合性向上というよりは、その「内容の強化」にあたるので、この記事では触れません。

個人の必要最低条件の「必要なもの」を探る上で、以下の質問を仕事のオファーを考慮しているときに自分自身に問い直すことをおすすめします。この先、下に挙げた質問がなぜ重要なのかひも解いていきます。

1.収入は生活必需品をそろえるのに十分か?

2.その仕事は安定、安全で堅実か?

3.仕事場の文化は私の価値観と合致しますか?

4.その職場で私の仕事は認められ、支持を受け、評価を受けることは可能か?

5.その役割で成長できるような機会はあるのか?

1943年にアメリカの心理学者であったエイブラハム・マズローが人のモチベーションについての理論を提唱しました。現在では「マズローの欲求5段階説」と呼称されています。(詳細はこちら

この5段階は個人の満足度と達成度を満たす5段階の「必要なもの」に合致しています。

欲求5段階説の基本的な考え方として、一つ上の階層の欲求を満たすためには一個下の階層がある程度満たされなければいけないことがあります。

長い間、この理論は就職や雇用の場面で用いられてきており、この階層の外に存在し、仕事環境の満足度に貢献する因子が否定できない一方、このモデルを使用して職場での役割が本当に自分に一致するか考える上でのきっかけとなり得ます。

このモデルを職業に当てはめるとき、「マズローの従業員エンゲージメントの階層」とよばれることが多いです。

自己分析と探索

さて、ここまでマズローの階層を理解したので、先ほど提示した質問を解説していきましょう。

1.収入は生活必需品をそろえるのに十分か?

人はだれしも、自分自身とライフスタイルを維持するために、さまざまなレベルでの収入を必要としています。ここで覚えておくべきこととして贅沢品等ではなく、必要最低限のもののみを考慮しているという点です。

その役職を検討する前に、その報酬があなたにとって必須となる経済的ニーズに合致するかを検討すべきです。

いくら支払われますか?

自分(と家族、もしいれば)が生活してくために必須となるものを計算しましょう。
例:賃料/ローン、自動車/通勤費用、月々の支払、食事代など

残業あるいは無報酬の仕事をする必要がありますか?

勿論、ある仕事が長引いて、時間外に仕事をする必要があるかもしれません。
一方で、その時間外労働が一度きりのことや稀なことは、継続的な義務として期待されることとは全く別物です。
こういったことをきっかけに思っていた内容と全く異なってくることがよくあります。

特に掛け持ちしている人は残業や無報酬の仕事を気にする必要があります。
なぜなら、一方の仕事で拘束されていた時間を別のものに回せるからです。まさに時は金なりです。

あなたはボランティアではなく、従業員であることを忘れないでくださいね。

雇用主は従業員に自分たちと同じくらいの情熱を仕事に求めるのはやめましょう。
結局、あなたの運営するビジネスであって、従業員たちが経営しているわけではないのですから。

どれくらいの頻度で支払われますか?

この質問は全員にとって同じ重みのあるものではありませんが、個々人が抱える借金や賃料などによります。

支払いの行われる頻度は現在抱えている返済義務のある支払い(住宅ローンなど)に間に合いますか?あるいは支払いが間に合うように調整ができますか?

二週間ごとのローン支払いがあるのに月払いになっていませんか?無計画にお金を使って最後の週カップラーメンで過ごすような生活になっていませんか?

歩合制の契約が提示された場合に、基本収入の保証はありますか?収入が0円になる可能性は考慮してますか?

例としてコロナ禍の時、ロックダウンが起こり、私のスポーツクリニックに一人も患者さんが決ませんでした。
スポーツが実施されなければ、患者は来ず、収入は0円になるのです。

出勤するにはどれくらいかかりますか?移動手段は?

この質問は財政的な質問ではありませんが、考慮しなければいけない重要な点です。

この話題に関しては様々な要因が通勤の良し悪し影響しており、個々人により受け取り方が違うので、様々な意見がありますが、通勤があなたにとっての考慮事項の一つであることを忘れないでください。

2.その仕事は安定、安全で堅実ですか?

医療者が公的機関で働くことと私的機関で働くのには大きな違いがありますが、この先述べることは両者で使える場合が多いです。

先ほどの歩合制と同じような質問ですが、働く期間が安定で規則正しく決まっていますか?

決められた時間を基に予定が建てられていますか?
家族の用事やその他用事でどうしても働けないとき、そのことも考慮してもらえますか?

その仕事、従業員としての責任、個人目標が明確に決まっていますか?

日常生活において、すべての要素が何かしらの構造に収まる必要はありませんが、繰り返し作業はモチベーションを引き下げる大きな要因です。

仕事場では同じミスを繰り返して、ひどいめ合わないために標準化や手続き化が必要な作業があります。

全員が何のために何をやるか把握しているか?
会社のポリシーややり方が会社を運営するにあたって機能しているのか?
KPIは存在するのか?使用している指標は安定しているものなのか?それとも気まぐれで変わるものなのか?

オンボーディングがうまくいっていないのであれば、組織の運営がその場しのぎであることはほぼ確実です。

どれくらい前から契約が延長されるかわかりますか?

もし契約が交わされるような職務についたのであれば、その契約の更新や終了(非行による終了を除く)にどれくらい注目していますか?
この質問は収入を安定させたい人にとって重要です。
不安定さそのものが「来週もここにいられるだろうか」といった不必要な疑問を生じさせ、仕事場での勤務態度に悪影響を及ぼす可能性もあります。

あなたの安全性が脅かされる可能性はありますか?

あなたの身体的安全性を脅かすような患者と接する必要はありますか?
なにか安全予防策はとられていますか?

例として、認知症患者を扱う施設で扱うとき、暴力をふるう可能性のある患者さんはいますか?

3.仕事場の文化は私の価値観と共鳴しますか?

ここから先は、個人によって適切な仕事場が変わってくる大きな要因となります。
だれかにとってふさわしい職場でもほかの人にとっては地獄のような環境かもしれません。

すべての組織の核にはその文化があります – 共有された考え、態度、バリュー、ゴールと実践の為の行動など

個人にとって価値観は羅針盤のようなもので、個々人の態度、判断と交流を決定していきます。

上で挙げたいくつかの要素は組織でのビジネス場面に関連する一方他は仕事場の人間関係とかかわってきます。

いずれにせよ、マズローの5段階説では社会的欲求を構成している概念と考えられます。

例:)誠実さ、正直さ、利他主義、自律性、協調性、成長、継続的学習

もし私たちの価値観が企業のものと一致すれば、雇用関係が平和で満足感のあるものになります。
一致しなければ、自己肯定感とQOLが一気に下がっていきます。

長いリストではありませんが、職場の環境に関連した核となる要素は以下のものであり、時には社会的欲求より上の欲求を満たすのに役立つ可能性があります。

目標と展望
その組織の役割と長期的目標
患者を最大限満足させるために何をしているのか?
自分で考えた患者を満足させるやり方と一致します。

リーダーシップ
上司がマネジャータイプ(上下のはっきりしたトップダウン式)か、リーダーがいるのか(多くの場合協力的で民主的)。
実際に役職に就くまで判別するのは難しいですが、応募して選考を受けた段階で分かる場合が多いです。

コミュニケーションと交流
オープンな議論が許されているか?

手続きと決定はどれくらい透明性があるか?

懸念点や不安点、決定を下すときに決められた手続き方法はあるのか?

組織のコミュニケーション・スタイルを判断する簡単な方法として従業員レビューを見ることをお勧めします。(まず、従業員レビューがあるのか、そして開示している目的はなにか)

あなたは職場の外で同僚と会うのを楽しみますか?
チームで行われる仕事が好きですか?
仕事を同僚と楽しくすることはできるが、プライベートまで干渉されるつもりはありませんか?

認知と報酬

その組織はどのようにして努力と成果を認知しますか?

ここに個々人の仕事のどの部分に愛着を持っているか、出世に対する意欲の違いがみられるところです。

努力がボーナスや金銭的インセンティブによって満たされるような組織に身を置いた方が仕事しやすい人がいる一方で、努力に対して賛辞をうけたり、努力が認められることが、金銭的報酬より重要だと考える人もいます。(すでに最低限の報酬は満たされていることが前提です。1.のところで満たしているはずです。)

ワークライフバランス

その組織はプライベート年ごとの境界を尊重し、従業員の幸福度を優先させていますか?

先ほど述べた労働時間、時間外労働などがあげられます。

例:私が一度労災保険に関する仕事を辞めたいと二人の上司に話したところ、彼らはなぜ私はそれほど不幸なのか、なぜその仕事を辞めたいのか、なぜ医療従事者をその職責にとどめることができないのか尋ねてきた。その時私は、その職務が累積的に私の道徳観を傷つけたと言ったことがあります。

なぜそのようなことを思ったのか?これは実際に体験してみないとわからないことですが、その職場の期待・価値観が自分の考えと合わなければ、自分の存在意義や仕事の意義、全体的な仕事の満足度すべてが消え去るような感情を抱いてしまうのです。

4.その職場で私の仕事は認められ、支持を受け、評価を受けることは可能か?

これまで見てきたように、低い階層の「必要なもの」は最終的な満足度を得るための基盤を作っているのです。

認知と評価を受けることは、社会的欲求の低いレベルから始まり、私たちにとって「必要なもの」が組織とどれくらい合致するのかということです。

先ほどのセクションでも述べたことですが、人によって仕事のどこに愛を持つかは異なっており、このことによって個々人によって認められたい・評価されたい・支持されたい部分は異なるのです。

組織が従業員の「必要なもの」に合致するのであれば、より高い親和性が期待され、モチベーションも生産性も高まるはずです。さらにはチーム内のダイナミズムの活性化と激しい人の入れ替わりの減少が期待されます。

自分にとって「必要なもの」が未来の雇用者によって満たされるかどうか判定するときに、三つの視点から考えることができます。

報酬制度

月額ボーナス、昇進、金銭の発生しない表彰に伴うごほうび(月の従業員として図書カードを贈呈など)
などがあげられる。

自分にとって一番喜べるものを考えると良いかもしれません。ギフトより賛辞の方がうれしい人もいますよね?

師弟制度

経験豊富な従業員が新しく入った従業に教える仕組み。
どれくらいのガイダンスが必要/義務?
現在志望しているエリアに関連したプログラムは存在するのか?

公開されたチャンネルがあるか?
ここでいうチャンネルではアイデア、懸念点、フィードバックや見聞きしたことを共有できます。

ヒント:高いスタッフの入れかえは雰囲気の悪く、サポート体制が整っていないことが多い。

5.その役割で成長できるような機会はあるのか?

成長できるような徴候があれば、見過ごすことなく、個人に取っての意味合いを考慮すべき必要性があります。
一部の人にとって昇進の階段を上って責任をとることを嫌がるひともいる。そういう人取って仕事はほかの階層の「必要なもの」を満たせばよいだけです。-(良い相棒・親になるのであれば、運動への願望に注目すべきです。)

一方で、キャリアへの期待と目標がある人は、その仕事があなたをどれくらい成長させるかということは、組織とうまく適合して長期的にいるのに重要となります。

頭に入れておいてほしいこととして、どんな仕事でも一生続ける必要はなく、合うところがあれば、積極的に変えてもよいという事実です。何か月あるいは何年か経ち、その場所で発揮できる最大限のポテンシャルに到達したのであれば、転職を考えてもよいでしょう。

別の場所に職場を打つのは全く構わないのですが、現時点で何が必要なのか、応募しようとしている仕事に必要な能力が何であるか自己評価するようにしましょう。

成長できる機会は様々な機会があります。

垂直成長
伝統的な昇進を表します。一般的には、責任が増した仕事を引き受け、役職が上昇し、役職名や給与の上昇、追加の利益などが付随してくることが多いです。例えば、ある程度の経験を積んだ臨床家が新しいスタッフを教育することなどがあげられます。

水平成長
この場合は同じレベルの別の仕事に移動し、幅広いスキルの獲得、劇的な職場の変化を伴うことが多いです。例えば、臨床医がマネジメントやオペレーションでの責任を持つな度が挙げられます。

スキルと知識の発達
ワークショップ、コース、認定、トレーニングプログラムなど個人の臨床・プロとしてのスキルを伸ばす機会

交友関係の拡張
同じ業界の同僚に合う、カンファレンスに参加、多職種で連携などを通じてプロフェッショナルとしての交友関係を拡張すること

個人の成長
プロフェッショナルとしてのスキルだけではなく、リーダーシップ、感情面での制御、対人関係などでの成長

結局その仕事に適合するかどうかは、実際に数週間、数か月働いてみないと100%わかりません。
最も重要なメッセージとして、どうしても譲れないものをはっきりとして、その点では妥協しないことが大切です。なぜならその点を譲歩したところで、最終的にはその譲歩できないところが原因となって離職してしまうことが多いからです。

この記事が仕事への応募や採用プロセスの早い段階で潜在的な適合性を判断できるようになるためにはどうすればよいのか、読者のみなさんにヒントを与えられていたらうれしいです。

最後にこれまでのまとめとして、自己評価する際に「必要なもの」として聞くべき質問を列挙します。

1.収入は生活必需品をそろえるのに十分か?
・私が毎月支払うべきお金はいくらか?(賃料/住宅ローン、水道代、光熱費、食費、ヘルスケア、交通費など)
・提示された給与は支払うべきお金をカバーするか?
・負債を軽減するために追加でボーナスや給与はあるか?
・給与は業界の標準や似た職業に比べてどうか?

2.その仕事は安定、安全で堅実か?
・その仕事は正社員、契約社員、派遣社員のどれか?
・その組織の評判は?
・その組織には頻繁な従業員の交代が過去にあったか?
・労働環境は安全か?従業員を守るためのプロトコルはあるか?

3.その仕事場は私の価値観と合致するか?
・どの価値観が私にとって大事か?(誠実さ、チームワーク、革新、ワークライフバランス)
・業務外で社会的交流が可能か・(もし業務で妨げられるのであれば、どれくらい幸福度は低下するのか?)
・会社の目標、展望、価値観は私個人の価値観とプロフェッショナリズムに一致するか?
・過去の従業員はどのように会社の文化をとらえているか?

4.その職場で私の仕事は認められ、支持を受け、評価を受けることは可能か?
・その組織にはパフォーマンスを振り返りとフィードバックシステムはあるか?
・師弟制度や同僚サポート制度などはあるか?
・どのようなトレーニングやオンボーディング手続きがあるのか?
・組織はどのようにして仕事を評価するのか?賞などによって認知されうるのか?

5.その役割で成長できるような機会はあるのか?
・その仕事にまつわる明確なキャリアパスや軌道はあるのか?
・その会社の従業員の教育やスキル向上に投資しているのか?
・実際に会社内で成長した社員はいるのか?
・違う職種につくようなプログラムはあるのか?

参考文献

Maslow, A. H. (1943). A theory of human motivation. Psychological Review, 50(4), 370–396. https://doi.org/10.1037/h0054346

Nguyen, T. A. (2020). The Key Elements Impacting Employee Engagement. International Business. 

Soni, B. (2013). Employee Engagement – A Key to Organizational Success in 21st Century. Voice of Research. 5-11.

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