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横アーチが足部に与える影響

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こんにちは、PTタイガーです🐯

今回の記事は「横アーチが足部に与える影響」について解説します。

前回は、外側縦アーチと内側縦アーチの関係についてお話ししました。
今回は、それに続いて横アーチが足部の構造や機能に与える影響について、詳しくお伝えしていきます。

2020年に発表された研究によると、
横アーチは内側縦アーチの構造に対して、40%から50%の影響を及ぼすという結果が示されています。

この研究では、横アーチに重要な「深横中足靭帯」やその周囲の組織を切除し、
その状態で上から荷重をかけ、縦方向の変位がどう変化するかを調べています。

その結果、横アーチの組織が残っている状態よりも、
縦方向への変位が大きくなるというデータが得られています。

つまり、横アーチが縦アーチの安定性に大きく寄与しているということです。

イメージしやすい例として、下敷きを使った説明があります。

横方向が平らな下敷きは、縦方向に柔らかくぐにゃぐにゃ動きます。
しかし、横に筒状のアーチを作ると、一気に縦の動きが硬くなります。

これと同様に、横アーチを保つことで縦方向の構造が安定します。

ぜひ、厚紙などでこの構造を体感してみてください。
感覚的に理解が深まるはずです。

また、近年発表された別の研究では、
横アーチの構造を担う深横中足靭帯の剛性をシミュレーションで変化させ、
足部全体にどのような影響があるかを調べています。

剛性を50%から150%まで変化させた結果、
靭帯が硬くなることで、舟状骨の沈み込みが減少するというデータが得られました。

靭帯の剛性が低いと舟状骨が沈み込みやすく、
剛性が高まると沈みにくくなるのです。

また、足長(足の縦方向の広がり)も、
靭帯が硬いと広がりにくく、
柔らかいと広がりやすい傾向が見られました。

さらに、足底腱膜の歪みも剛性が高まることで大幅に減少しています。

この結果からも、深横中足靭帯の剛性が縦アーチの構造安定性に強く関与していることがわかります。

続いて、足底圧の変化についても見ていきます。

靭帯の剛性が高まると、前足部と中足部の足底圧が低下します。

横アーチが潰れて広がると、外反母趾や開帳足のように、
前足部に過剰な荷重がかかる傾向が強くなります。

それに対し、横アーチがしっかりしている状態では、
後足部・中足部・前足部にバランスよく荷重が分散されます。

これにより、過剰な足底圧が軽減されると考えられます。

最後に、中足骨頭部への応力の変化についてです。

横アーチの剛性が高まると、
第1~第3中足骨頭への応力が増加し、
第4・第5中足骨頭への応力が減少します。

これは、内側への荷重がかかりやすくなり、
外側への負担が減ることを意味します。

横アーチが崩れた状態では、荷重が外側に流れやすく、
母趾へ荷重が乗りにくくなるため、
高齢者などでは特に前足部のバランスが崩れる可能性があります。

しかし、横アーチがしっかりしていることで、
母趾を含めた前足部全体にバランスよく荷重がかかるようになります。

まとめとして、
横アーチの剛性は足部機能において非常に重要です。

中でも深横中足靭帯は、その剛性に強く関与しており、
この靭帯の状態が縦アーチの安定性や足底圧の分散に影響を及ぼします。

これまで内側縦アーチが注目されてきましたが、
横アーチも同等に、足部全体の機能において欠かせない存在です。

横アーチを意識したアプローチは、臨床でも非常に重要になると考えられます。

それでは、今回はこの辺で終わりにします。

より深く足部を学びたい方はこちらを見てみてください!
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参考文献

Linjie Zhang. Effect of forefoot transverse arch stiffness on foot biomechanical response–based on finite element method. Front. Bioeng. Biotechnol. (2024)

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