「スクワットが綺麗にできない」
「何が良いスクワットなのかわからない」
「何をすれば良い動作になるのかわからない」
最近スクワットについての相談が多いです。
スクワットは
日常生活動作においても
動作評価においても
エクササイズにおいても
非常によく使う動きの一つです!
スクワットが綺麗にできているということは
身体に負担のかからない動きができていることになります。
逆にスクワットが綺麗にできていないということは
どこからしらに負担がかかっている可能性があります。
ものを持ち上げるとき
椅子から立ち上がるとき
しゃがむとき
膝が内側に入ったり
腰椎伸展が優位になったり
足部外転が強くなったり
結構エラーが出ていることがあります。
実際にそれらが続くことで
膝に負担がかかったり、腰に負担がかかって
痛みを引き起こしているケースはたくさんあります。
あなたの患者さんでも
起き上がりに腰が痛い
しゃがむときに膝が痛い
なんて相談をされる患者さんがいらっしゃると思います。
(私が整形外科にいたときは4割くらいこれです)
様々な原因はありますが
スクワットが綺麗にできているということは
負担なく日常生活を送ったり
高いパフォーマンスを出すという視点では
必要な条件の一つになると考えています。
ではそのスクワット動作ですが
正しく行うにはどうすればいいのか?
スクワットの何を見ればいいのか?
何をすればスクワット動作が変わるのか?
今回はスクワットをテーマにお話したいと思います。
動作評価の幅を広げたい!
動作時の痛みを改善させたい!
そんな人には今回の内容はお役に立てると思います。
是非最後までお読みください!
スクワットをどのように指導している?
あなたはスクワットをやってもらう際に
どのように指導していますか?
「膝が足先を超えないように曲げましょう!」
というのは昔から言われているものですが
本当にそれであっているでしょうか?
スクワットというのは
股関節・膝関節・足関節が連動して行う動作ですが
重要なのは股関節と足関節になります。
そもそも可動域に制限があれば正しい動きでスクワットはできませんし
コントロールが出来ていなかったら膝関節優位で行ってしまうことになります。
「腿の前ばかりが張っている感じがある」
なんて言われたことはありませんか?
もしくはご自身でスクワットをした際に、大腿前面に強い負荷がかかっていることはありませんか?
それは股関節を活用できていない可能性があります。
大腿骨が長い患者さんの場合、支持基底面内に重心位置を保つために体幹前傾角度を強める必要はあるなど、
個体性に合わせた指導が必要にはなりますが、
基本的な形としては
体幹の前傾角度と脛骨の前傾角度が平行になっていることが正しいポジションになります。
正しく出来ていましたでしょうか?
私も最初はそんな事も知らずに
「足先から膝が出ないように気をつけてやりましょう!」
なんてことしか言ってませんでした・・・
(もちろん大腿前面に無駄に負荷がかかってましたね)
まずはこの形が正解の一つであることを憶えておきましょう!
(例外として、そのスクワットでなにをしたいかにもよってくるので、理論背景があればそこから逸脱しても問題ないと思います)
間違ったスクワットとしゃがみ込み
スクワットと同時にしゃがみ込みも一緒に考えていきましょう!
どちらも足関節、膝関節、股関節の3つの関節による
トリプルフレクション
トリプルエクステンション
ができていることが大事になります。
●股関節の屈曲・伸展
●膝関節の屈曲・伸展
●足関節の背屈
これらの可動域がまず発揮できているかは最初にスクリーニングしていく必要がありますね!
他動での関節可動域に制限があるならば
スクワットやしゃがみ込みは難しいです。
特にフルスクワットに関しては
足関節の背屈が43°前後必要と言われているため
非常に高いモビリティが求められます。
これらの可動域に制限があれば
スクワットやしゃがみ動作ができないだけでなく
動作中に代償動作が出てきます。
<よくある不良動作>
●股関節内転内旋優位(knee-in方向になる)
●脊柱の屈曲が不十分(戻る際に伸展優位)
●股関節屈曲が少ない
●足部の外転が強い
●後方荷重が強くなる
下肢以外でも代償は多いです
●リブフレア(肋骨外旋)
●骨盤の後傾
●胸腰椎移行部の伸展
など
これだけあると
スクワットやしゃがみ込み動作は全体的な下肢体幹のスクリーニングとして非常に優秀な評価になるなと感じますね。
やってみるだけである程度患者さんのフィジカル状況が把握できるのですから!
ここに両手を挙げた状態を合わせたオーバーヘッドスクワットは
アスレティックトレーナーやパーソナルトレーナーが活用するFunctional Movement Screen(FMS)にも入っていますね。
(是非チェックしてみてください)
それだけスクワットは代償がわかりやすいものということです。
ここを見逃さないことがセラピストとしては大事になりますね!
どうすればスクワットやしゃがみ動作が良くなるのか?
現場レベルではありますが
スクワットとしゃがみこみができない多くの理由は
●股関節屈曲(骨盤前傾)が出来ていない
●伸展筋が優位な状態(リブフレアや胸腰椎移行部伸展)
●距腿関節の背屈制限
この3つが多いように感じます。
これらを改善させるとスクワットやしゃがみ込みも改善されることが多いです!
特に股関節屈曲に関しては
前回の記事でもお話しましたが
モーターコントロール不全のケースが多いです。
他動的な可動域として股関節屈曲は120度以上保たれていても
実際に重力下においては膝優位で屈曲してきてしまい、
結果として大して股関節屈曲せずスクワットをしてしまうことになります。
まずは股関節優位で動かしていくことを運動学習させてからスクワットをさせることが大事です!
そのため
私がスクワットやしゃがみ込みができるフィジカルづくりで大事にしている流れは
①CKCで股関節屈曲ができるエクササイズ(ロッキングバック)を先に行う
②膝立ち位(トール二ー)でのヒップヒンジを行う
③最後に立位でスクワットを行う
この流れにしています。
OKCのほうが間違いなくコントロールは難しいので
まずはCKCで股関節を動かせるようにするなら
四つ這いのポジションで行うのが最も効果的な方法のひとつです。
ロッキングバックならお尻を後方に引けば股関節屈曲ができるので
股関節屈曲の動きの運動学習ができます。
そして股関節屈曲の運動学習が出来たら
立位で行う前に膝立ち位で行います。
通常のスクワット動作というのは3関節で行いますが
膝立ち位なら足関節の影響は受けません。
股関節の動きだけ考えればいいので、コントロールする練習には最適です。
そして最後に立位となって
トリプルフレクションとトリプルエクステンションで行ってもらいます。
この流れだと、すでに運動学習がされているので、モーターコントロールも良好です。
これだけでもスクワットやしゃがみ動作の代償は減ります。
伸展筋優位に関しては
筋緊張や姿勢コントロールの問題もあるので、
脊柱の固有受容器に刺激を入れて屈曲を優位にさせるロールアップロールダウンなどの
脊柱の屈曲コントロールのエクササイズを入れると、
リブフレアも含めて抑制されやすいです。
そして最後の距腿関節の背屈可動域ですが
もちろん徒手的に改善できるところは行いますが
距腿関節の背屈制限は組織の柔軟性だけでなく
アライメント不良から来ていることも多いです。
特に後足部のアライメントが崩れていれば、
距骨は内方に移動するため後方滑走が十分にできず背屈制限が出てしまいます。
なのでここでインソールが役に立ちます!
後足部のアライメントを直立化させるような矯正させるフォームソティックス・メディカルを入れた状態で行えば
距骨のアライメントは整うため背屈が出やすくなり、
スクワットやしゃがみ動作においても外転などの代償が出にくくなります。
スクワットやしゃがみ込み動作というのは
代償が出やすく他部位に負荷をかけやすいです。
股関節屈曲の動作コントロールとインソールも含めた足部の背屈誘導は
動作改善のためにとても役に立つ方法になるので、
是非現場で試してみてください!