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足病学に基づく運動療法…長寿の鍵?

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海外足病医タリーシャ・リーブ】×【トップトレーナー齊藤 邦秀

目次

今回の内容は?

今回の議題は「足病学を学ぶ理由」。特に、足病学に基づく運動療法を学ぶ重要性について議論を広げます。「人は足から死ぬ」と言うほど、足の健康は欠かせないもの。                     まだまだ足病学が普及していない日本で、足の健康の指導をどう広めていくべきか?

【木村】本日は、オーストラリア足病医のタリーシャ・リーブ先生とメディカルフィットネス研究会の齊藤邦秀先生に来ていただきました!

メディカルフィットネスの領域のプロが「足病学に基づく運動療法を学ぶべき理由」というテーマで対談をお届けします。お二人ともよろしくお願いします。

【齊藤】よろしくお願いします!

【木村】まず、今日はタリーシャ先生の「足底腱膜炎マスタークラス」というセミナーを受けた後ですが、齊藤先生いかがでしたでしょうか?

【齊藤】はい、今日は最高でしたね。めちゃめちゃ良かったです、いろんな意味でいいところがあって。

まずは、足病医の立場の先生がこんなに運動に関してしっかりと講義をしてくださるというのは初めてでした。で、あとはやはり運動療法というのをしっかりと入れていることですね。回復していくためにはやっぱりいろんな物理療法いろいろやっていると思うんですが、それだけじゃない。ちゃんと運動療法を最適にあてがってしっかりとお話されていたっていうところはすごく印象に残りました。

【タリーシャ】筋骨格系の疾患を扱うときにはとても重要なことだと感じています。本来筋骨格系の疾患は負荷に対する反応が悪いために起こる問題であり、私たちは運動療法を用いて耐性を高め再び負荷に耐えられるようにします。

【木村】ありがとうございます。そこで今回は、日本のパーソナルトレーニング運動療法のプロである齊藤先生からですね。メディカルフィットネスっていう部分で、「今これから伸びていくんじゃないか?」と言われているこの領域の方々が、足病学に基づく運動療法をP3を通してぜひ学んでいってはどうかと考えているところなんですが…

どういう観点で学んでいくべきか、みたいなところをお二人で話してみたいと思います。

では、齊藤先生、お願いします。

P3(Progressive Podiatry Project)とは、特に運動療法に重点を置き、筋骨格系の病状の評価と管理に関する世界クラスの教育コンテンツを提供することを目的として 2019 年に設立されました。オーストラリア足病医、タリーシャ・リーブ先生が開発した「ポダイアトリスト(足病医)向け」教育コンテンツを学ぶことができます。

足を丈夫にすべき人は、アスリートだけじゃない

【齊藤はい。メディカルフィットネスというところでいうと、やはりアスリートもいるんですけれども、それ以外のいろんな一般の人たちが、これから人生100年時代を生きていく上で絶対に必要だと思っています。で、100年生きるためにはやはり重力に負けないちゃんと自分の足でずっと歩き続けるのがすごく大事だと思っていて。

そうすると、まず足からしっかりと作らなきゃいけないここをすごく僕は重要だと思っているんですけれども…どう思いますか?

【タリーシャ】私も全く同感です。足病学全般に言えることですが、「人は足から死ぬ」という格言があるんです。これは筋骨格系の足病学に限ったことではなく、糖尿病や高齢者に関しても言えることですが、多くの問題は足から始まります。

足は動き、血液供給、神経伝達に関しても健康の指標となるものです。ですから、足の健康を維持・向上させるためにできることはすべて行うことが長寿の鍵になると思います。

【齊藤今血流とか、糖尿病の関連のこととかっていうふうに出てきてましたね。やっぱり足で歩いた刺激がちゃんと脳に伝わるということなので、きっと脳の方もすごく大事かなと思いましたね。

やっぱり今認知症がすごく問題になってきているんですけども、これオーストラリアだとかではどういう状況かなというのをちょっと聞きたいです。

【タリーシャ】オーストラリアではアルツハイマーや認知症に対する意識が非常に高いです。また、私たちの公衆衛生メッセージも、若いうちから体を動かすことが年をとってからのアルツハイマー病や認知症の発症を防ぐのに重要であるということを中心に据えています。ですから、非常に似たようなメッセージです。

【齊藤】ありがとうございます。やっぱりそうですよね。あとちょっと違う点からなんですけど、やっぱり足をしっかりと作っていくと、その足元から膝、骨盤、腰、スパインも全体がよくなると姿勢がやっぱりある程度良くなる。それによって可動域が良くなってムーヴメントも良くなる

これが多分、その整形外科の疾患を予防することになると思うんですよね。だからそこを僕はすごく大事にしていて、そこをちゃんと提供できるメディカルフィットネスの指導者トレーナーをたくさん作りたいなと思っています。

【タリーシャ】そこには、必ずしも一つの完璧な足の姿勢や背骨の姿勢があるわけではなく、ある人にとっての普通が他の人にとっての普通とは異なるため、ニュアンスの違いが出てきます。しかし、健康的な動きを奨励するというのが最近の文献の方向性なのです。

最新技術の活用における注意点は?

【齊藤】今、ちょっとエビデンスのこともお話をしてもらったんですけど、最近こういう活動量を取れるようなスマートなデバイスが増えてきたと。やはり、日本でも「8000歩くらい歩かないと病気になりやすいから、それぐらいは歩きましょう」ってことを言われてるんですよ。

だから僕はいろんな方からデータを取って、データに基づいて次のコーチングをするようにしています。日本ではまだデータを見た上でのコーチングをするっていう人がまだ少ないんだけれども、やっぱりこれがもうちょっと広がってきてほしいなと…

そうすれば、タリーシャが言ってた「健康のリテラシー」を上げることをやりながら、実際に、じゃあ、どれぐらいリテラシーで学んだことを実践しているのかがわかる。これがちゃんと生涯続いていけば、より健康な人が増えるんじゃないかなと考えます。オーストラリアでは一般的に、こういうコーチング方法って採用されているんですかね?

【タリーシャ】行っていますよ!担当する患者の年齢層にもよりますが。臨床現場では、患者によってはデータの活用が我々との関わりの障壁になることもあるようです。一方で、一部の患者にはデータは治療計画や教育計画の一部として非常に有益です。

要するに、年配の方の中にはテクノロジーやデータを活用しようとすることに少し恐怖心を抱いていると治療全体が圧倒されてしまい冷静さを失ってしまうことがあるわけです。対して、他の年齢層の患者はデータやテクノロジーも怖くはないのです。上手に活用すれば治療への関心を高めることができるので、実際よくデータを活用しています。しかし、やはり患者のタイプによることは念頭におかなくてはいけませんね。

【齊藤】今までいろいろお話をしてもらったんですけども、やっぱりメディカルフィットネスという分野で言うと、エビデンスに基づいた足病学を基にする運動療法を学ぶってのは、非常に大事だと思っていて。日本にそれが実践できる人や、そのようなサービスを提供する施設が増えてくるとと非常にいいなと思いますね。

ちなみに、オーストラリアではどれぐらいの施設でそういうふうなサービスが受けられるのですか?あとは、その足病学に基づいた指導ができるトレーナーはどれぐらいいるのかなと。気になるので、ちょっとその辺も聞いてみたいですね。

【タリーシャ】オーストラリアには人口が2500万人いる中で登録されている足病医が約6500人います。私たちは、最も小さな医療専門家の一つで、6500人の中に様々な副専門分野があります。そのうちの一つが小児足病学、そしてハイリスク足病学、これは糖尿病や血管疾患ということになりますね。また、高齢者や軽度のスポーツ障害に多い一般的な足病学があります。

【タリーシャ】それから私の専門分野であるスポーツやバイオメカニクスの足病学です。オーストラリアでは、治療家がエビデンスに基づく治療を行うことは治療家全体の中でもまだ非常に大きな障壁となっており、浸透しているとは言い切れません。ですから、足病学会やオーストラリア足病医学会ではその重要性を認め強調しています。

私は、この二つの組織間に貢献し、より多くの足病医がエビデンスに基づいた治療をできるよう働きかけているのです。私は多くの治療家が最新のベスト・プラクティスやエビデンスに従っていない最大の理由は情報が常に変わり続けているからだと思います。そして、それを維持しようとするととても時間がかかります。それがP3を開発した一番の理由です。オーストラリアだけでなく世界中の足病医が簡単に最新の情報を手に入れることができるようにするためです。

日本に足病学を浸透させるためには?

【齊藤】今P3のお話をしてくださいましたが、今日はちょっと入りの部分を少し学ばせていただいて、非常に良かったなと思います。足病学自体まだ日本にないんですけれども、やはり足からしっかりと体を作っていくことは非常に大事なので、そこの部分をちゃんと学んで指導できる人って絶対に必要だと思うんですね。

足病学を基に指導する人というのは、日本は治療家が多分一番早いなと思うので、実際に鍼灸とか柔道整復師とか、そういう医療従事者の人がまずは学んでその人たちが正しい運動を伝えていく。これが多分一番早いなとこれが一番最適かなと思ってるんですけども、いかがでしょうか?

【タリーシャ】同意します。運動療法を見ると、鍼灸師や柔道整復師が行う治療の多くは運動療法をうまく補完しているからです。つまり、一方が他方に対抗するのではなく、一方が他方に協力することで成果を向上させることができるのです。私の理解では、鍼灸師や柔道整復師が行っている治療の多くは痛みを和らげ、強く健康的な体を作るためのより多くの運動をする機会を与えることに非常に適しています。

【齊藤なるほど。あと、パーソナルトレーナーが医学的な知識をもう少し学べば、そういうことができるかなというふうに考えているんですけども、どうでしょう?

【タリーシャ】同感です。オーストラリアでもそれぞれの持ち場の特性として捉えることができます。つまり、怪我がひどいと治療家や足病医にみてもらう必要がありますし、怪我もなく健康で体力もある人でしたらパーソナルトレーナーに診てもらうだけの場合もあります。

治療家や足病医がパーソナルトレーナーの仕事について知っておくことが重要です。また、パーソナルトレーナーにとっても治療家や足病医が何をしているのかを知ることは重要です。そうすることで、治療家や足病医がいつパーソナルトレーナーと運動を再開できるかを把握できます。そして、パーソナルトレーナーが怪我をした人を担当する場合、こうした各分野への理解があれば自分の専門範囲を超えた場合、どのタイミングで医療機関を勧めれば良いかわかってくるのです。オーストラリアでは、それぞれの治療家が対立的に仕事をするのではなく、患者のために協力し合うことをとても大切にしています。

【齊藤】非常にいいお話を聞けました!まさにそのワンチームで一つのコンセプトに基づいてやっていけるというメディカルフィットネスを目指しているので、ぜひそういう人たちを増やしていけるように頑張っていきたいなと思います。

【木村】はい、今日はありがとうございました。

ぜひみんなで一緒に日本に足科を作っていければと思います。

では、本日はタリーシャ先生、齊藤先生、貴重なお話ありがとうございました!

オーストラリア足病医学会公認「世界中の足病医が学ぶ治療法」

あなたは足底腱膜炎の治療で、病態生理学やリスク因子の正しい知識を持っていますか?この足病学臨床マスタープログラムは、世界中の最先端の医学知識を、日本語で学べる唯一無二のプログラムです。足底腱膜炎に対する治療アプローチの概念が180度変わり、患者さんへの貢献と自身のキャリアに大きな差をつけることができるかもしれません。世界基準の足病学が推奨する、足底腱膜炎の治療法をマスターしてください。

  • オンライン講座(合計12時間18分 / 20動画)
  • 濃密なフルカラーテキスト資料(203P / 406スライド)
  • 特典(足病医が臨床使っている11の資料)

講師紹介

タリーシャ・リーブ

日本足病学協会 理事

筋骨格系専門足病医(オーストラリア足病医学会所属)

B.App.Sc.(Podiatry) / 応用理学士(足病医)

Graduate Certificate in Clinical Rehabilitation

(臨床リハビリテーション修士)


オーストラリアで15年の臨床経験を持つ足病医。オーストラリア足病医学会(APodA)、イギリスのスポーツ医学界(BJSM)の両団体から世界初の承認を受けた、足病医向け教育プログラム[足病学臨床マスタープログラム]の開発者。世界29か国/8万5000人の会員組織を持つ国際足病医団体「FIP」公認の最大級イベント「Foot&Ankle Show」登壇者。オーストラリア足病医学会主催の足病医を対象とした臨床リハビリテーションワークショップツアーを豪州全域にて担当。2022年に行われた2回の来日実技セミナーでは全国から参加した50名超の参加者の満足度が10点満点中9.65点という大絶賛を受けた。

齊藤 邦秀

日本足病学協会 理事
公益財団法人日本健康スポーツ連盟 日本メディカルフィットネス研究会 委員
全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会日本支部 マスタートレーナー(元副代表)
ドイツ・ライプチヒスポーツ科学交流協会 理事
有限会社Wellness sports 代表取締役


東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻(ウェルネス研究室)卒。90年代よりスポーツトレーナーとして活動を開始し、数多くのアスリートや著名人のトレーナーを歴任。日本最大級のトレーナー団体NESTA JAPAN立ち上げ時から副代表として日本のパーソナルトレーナー業界を牽引し、これまで約5万人のトレーナーを育成。スポーツ・フィットネス分野のスペシャリストとして、運動プログラムの開発、メディカルフィットネス施設開業サポート、企業・学校・行政等での講演活動等を行っている。TV・雑誌の監修多数。雑誌『Tarzan』エクササイズ監修歴23年。“歩行専用”トレーニングサービス「walkey(ウォーキー)」のプログラム開発者。

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