こんにちは、タリーシャ・リーブです。
私はオーストラリアの足病医で、現在は南オーストラリア州のアデレードを拠点に活動しています。
2007年に西シドニー大学を卒業して以来、足病師(ポダイアトリスト)として15年以上のキャリアを重ねてきました。
今回は、私のこれまでの歩みと、Progressive Podiatry Project (P3) の立ち上げについてお話しします。

足病師としてのキャリアの始まり

大学卒業後、私は小さな足病医クリニックで唯一の足病医として診療を始めました。
この時期に、私は筋骨格系の傷害に強い興味を持つようになりました。
そして2012年、その興味に突き動かされ、怪我とリハビリに特化したクリニックを開業しました。

このクリニックでは、スポーツによる怪我や関節炎などの慢性的な下肢の傷害に完全に特化し、患者一人一人の問題の根本的な原因を追求するようになりました。
この過程で、私は臨床リハビリテーションについてさらに学ぶ必要性を感じ、大学院に戻って修士課程を修了しました。

専門性の深化：筋骨格系足病学への道

大学院では、アキレス腱炎、関節炎、足関節の怪我、腰痛などの一般的な疾患について深く学び、「筋骨格系足病学」領域の専門性を身につけていきました。
この専門性が評判となり、近隣の足病師から複雑な症例を紹介されるようになりました。

私の経験は、小さな街でのクリニック経営から始まり、術後リハビリテーション施設でのコンサルタント、総合病院での術後ケア、高度スポーツクリニックでのアスリートケアと、多岐にわたります。
これらの経験を通じて、筋骨格系治療の様々な側面に触れ、数千人の患者を診療し、2000以上のリハビリプログラムを処方してきました。

P3 (Progressive Podiatry Project) の誕生

P3の構想は、私の臨床経験と教育への情熱から生まれました。
当初は「キネティック・セラピー」として始まったこのプロジェクトは、運動療法を中心に据えていました。
しかし、臨床経験と最新の研究から、患者の筋骨格の状態を理解することの重要性に気づき、より包括的なアプローチを目指してP3へと進化しました。

P3の立ち上げには、世界的なパンデミックも影響しています。
2020年に予定していた対面でのワークショップがキャンセルとなったため、オンラインでの教育コンテンツ提供へと方向転換しました。
これが、現在のP3の形態につながっています。

P3の目的とvision

P3は、足病師だけでなく、下肢障害や筋骨格系疾患に関心のあるすべての医療従事者を対象とした教育プラットフォームです。
その主な目的は、最新の臨床研究と実際の治療現場との間にあるギャップを埋めることです。

日々新しい研究成果が発表される一方で、臨床現場ではそれらの情報を即座に取り入れることが難しい現状があります。
P3は、最新のエビデンスを分かりやすく噛み砕いて伝え、治療家が実践に活かせるようサポートします。

筋骨格系疾患に対する医療の未来に向けて

P3を通じて、私は常に最新の臨床研究の最前線に立ち続けることを目指しています。
そして、その知識を世界中の治療家と共有し、患者のケアの質を向上させることが私の使命だと考えています。

下肢の健康に関わる医療の分野は日々進化しています。
オーストラリアでは、この分野の専門分化がまだ制度化されていませんが、実質的には様々な専門性が発展しています。
私自身、筋骨格系疾患のリーダーの一人として認められるようになり、国際的にも活動の場を広げています。

これからも、P3を通じて教育と臨床のギャップを埋め、下肢の健康に関わる医療の発展に貢献していきたいと思います。

日本の医療従事者へのメッセージ

日本版のプログレッシブ・ポダイアトリー・プロジェクト、P3 Japanは、日本の医療従事者やパーソナルトレーナーという職種に限らず、患者が活動に復帰できるようにサポートしているすべての人に向けて教育コンテンツをお届けします。

私が日本の治療家にお会いして感じたのは、日本人の文化背景もあるようですが、患者、治療家、顧客のために貢献したいという思いを持ち、そのための学びを楽しむ人が多いことです。

私はこれからそのような方達と働くのが楽しみですし、日本の治療家の皆さんが下肢障害を診断する際に知識、スキル、自信を高めてくれることを期待しています。
そして最新のエビデンスをすぐに患者の治療に活用していただきたいと思います。

これからも、P3を通じて教育と臨床のギャップを埋め、下肢の健康に関わる医療の発展に貢献していきたいと思います。
医療従事者の皆さん、共に学び、成長し、患者さんにより良いケアを提供していきましょう。