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良い歩行のためには多裂筋が大事?

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「歩行時の横ブレや偏移を修正するには骨盤帯の安定も大事」

「歩行時の腰部痛の改善には骨盤帯がカギになる」

安定した歩行や姿勢をつくるには骨盤帯が安定していることはとても重要であることは私も理解しています。

最近は腰部痛についての相談や、腰部痛のお客様のコンディショニングをするケースが増えてきています。

特に歩行時に腰部痛が出る患者さんというのは
最初の頃はどのように改善したら良いかよくわかりませんでした。

腰部だけの問題ではなく歩行に問題があったからです。

ではその歩行をどのようにコントロールしていけばいいのか?

キーになるのは多裂筋です!

多裂筋は骨盤のコントロールする筋肉として非常に重要なインナーマッスルの一つです。

もちろん私は若手の頃は多裂筋のことなど対して理解できていませんでした・・・

なので歩行時の腰部痛に関してな特に良い結果を残せずにいた苦い思い出があります。

多裂筋のことを理解しておくと
腰部痛の抑制だけでなく、歩行時の崩れの抑制も可能になります。

骨盤帯のコントロールができるようになれば
下肢障害の抑制にも役に立ちます。

足部などの局所的なところに加え
下肢体幹から動きを良くしていきたい!

という人には今回の内容はお役に立てるかなと思います。

特に患者様に腰部痛(しかも歩行時に症状が出る)のあるケースが多い方は

是非最後までお読みください!

目次

まずは多裂筋について

そもそも多裂筋ってどんな筋肉?

という方もいるでしょう!
(私がそうでした・・・)

というわけでまずは多裂筋の起始停止について

起始: 仙骨後面、後上腸骨棘、脊柱起立筋膜、仙腸関節靱帯、腰椎乳頭突起、T1~3の横突起、C4~C7の関節突起

停止: 多裂筋の筋線維は上方および内側を通り、最上部の頸椎(C1)を除く脊柱の各椎骨の棘突起に停止

脊柱から骨盤まで支える筋肉として機能している筋肉ですね。

この多裂筋がなんで大事なのか?

なんとなく大事だとは聞いているけど具体的にどのように大事なのか知らない方は是非チェックしておきましょう!

いわゆる腰痛とかにはめちゃくちゃ関係する筋肉ですね。

多裂筋は小さい筋肉で、

「背骨を動かす」という力よりも「背骨をコントロールして安定させて、体の位置関係を教えてくれる」という役割がメインになります。

慢性腰痛の方を対象とした研究では、多裂筋の萎縮が認められています。 (しかも腰痛がある背骨側の多裂筋が萎縮するという、局所的な要素もあります。)

Multifidus size and symmetry among chronic LBP and healthy asymptomatic subjects – PubMedPrevious studies have provided evidence of multifidus musclepubmed.ncbi.nlm.nih.gov

他の論文において腰部痛の人は

●多裂筋の運動制御の有意な低下 ●多裂筋の脂肪浸潤の増加 ●多裂筋の厚さの減少

もわかっています。

The difference in multifidus muscle morphology and motor control in non-specific low back pain with clinical lumbar instability and healthy subjects: A case-control study – PubMedMotor control and the morphology of LMM in patients with CNSLpubmed.ncbi.nlm.nih.gov

このあたりは論文がたくさんあるので、pubmedでチェックしてみてください!

そしてどのように歩行に影響しているのかですが

多裂筋が機能できていない→歩行が崩れる

というダイレクトな考えではないです。

多裂筋というのは

上述した通り骨盤や脊柱をコントロールする筋肉になります。

多裂筋が機能不全になるとまず何が起こるかというと

姿勢が崩れます!

これが答えみたいなものなのですが、
姿勢アライメントが崩れることで可動域や筋出力は大きく変わってきます。

多裂筋の機能不全で起こりやすい姿勢となると
スウェイバック姿勢が多い印象です。

スウェイバック姿勢で機能不全が起こりやすいい筋肉で言えば
殿筋群やハムストリングスです。

これらは歩行立脚時のコントロールで非常に重要になる筋肉なので
機能不全が起これば立脚時に横ブレが起こりやすくなります。

現場レベルではありますが
歩行立脚時に横ブレがある患者さんのほとんどは多裂筋の機能が低下しているケースが多いです。

これがハムストリングスや大殿筋の機能不全から始まっていることもあるので

卵が先か鶏が先かの話にはなってしまいますが、
多裂筋の機能不全が姿勢不良と歩行での偏移に関わっていることは確かかなと思います。
(このあたりはまだ論文が少ないのでどうしても現場レベルでの話が多いですがあしからず)

腰部痛の患者さんであっても
下肢痛の患者さんであっても

多裂筋及び骨盤帯のコントロールの向上は
症状改善のために重要な要素になってきます!

多裂筋が機能不全を起こす原因は?

そもそもそんな大事なインナーマッスルですが

なぜ機能不全を起こしてしまうのか?ですが

現代のライフスタイルでは

長時間のデスクワークが多く
腹部の短縮、大殿筋やハムストリングスへの座圧による柔軟性低下から
付着している多裂筋は機能しづらくなります。

是非試してほしいのが
ハムストリングスの単独収縮をしてもらった時に多裂筋を触れていると収縮を触知することが可能です。

それだけ関連性が高いのです。

いきなり多裂筋だけが機能低下を起こすことはなかなかありません。
日常生活での姿勢から機能不全を起こしてきます。

そんな多裂筋を効果的に使っていくエクササイズはあるのか?

多裂筋を効果的に使うエクササイズとは?

なかなか多裂筋をダイレクトに鍛えようにもどんなエクササイズをやればいいのかわからないですよね?

あなたも知っているあのエクササイズがおすすめです!

Lumbar Multifidus Muscle Thickness During Graded Quadruped and Prone Exercises – PubMedExercises for lumbar multifidus (LM) muscle are important forpubmed.ncbi.nlm.nih.gov

四つ這いのエクササイズ。

Screenshot

ダイアゴナルレイズなんて名前で紹介されているときもありますね
(名前を覚える必要はありません)

これやっぱりが効くんです!

上記の研究では
・上肢を上げるよりも下肢を上げたほうが多裂筋が厚くなる
・上肢、下肢を上げると一番多裂筋が厚くなる

となっています。

このエクササイズは

重心が低いため比較的安全にできるのと
目視で自身のポジションを修正することが可能です。

また四つ這いのポジションというのは

股関節が90度の屈曲位で行われますね。
この状態は股関節の関節窩に対して大腿骨頭を押し付けるような役割があるため
股関節の固有受容器(関節のコントロールに必須の受容器)への刺激が高いです。

固有受容器への刺激が入ることで
身体のモーターコントロールが向上します。
ちなみに固有受容器への刺激の優先度に関しては関節の柔軟性よりも高いです。
(ここ超重要!)

Screenshot

また

多裂筋は大腿二頭筋と繋がっているため
ハムストリングスの収縮運動で刺激を入れることも可能です。

逆に

多裂筋の機能不全があると
付着しているハムストリングス、その先の長腓骨筋の張力低下にも繋がるため
歩行時の横ブレにも大きく影響しますし、下肢疾患にも繋がります。

確実にケアしておくべき場所ですよね!

ただ

現場だとなかなか多裂筋が入らない
なんてことが多々あります。

ほとんどの人が多裂筋ではなく脊柱起立筋で代償してしまうのです。
(特に四つ這いのポジションでは)

多裂筋が正しく機能するには

1つ1つの背骨を動かさせるという前提条件が必要です
(筋肉を使うには伸縮が必要な点から)

といってもいきなり背骨を一つ一つ動かせと言ってもわけがわからなくなります。

そのためにやるべきなのが

ヒップリフトアーティキュレーション

いわゆるブリッジエクササイズですね!

床を体性感覚への感覚入力として手助けしてもらいつつ

背骨を一つ一つ持ち上げていくという動作ですね。

これが上手くできるようになってから四つ這いの運動をやってみましょう!

そうすることで収縮が入りやすくなり

身体の支持もしやすくなります!

実際手順として

①ヒップリフトアーティキュレーション

②ハムストリングス収縮運動

③ダイアゴナルレイズ

この手順で行うと

多裂筋が機能するようになり
立位や歩行においても姿勢も保持しやすくなり、腰部痛に関しても抑えられるケースが多いです。

多裂筋が上手く効くようになれば

下肢体幹の支持性も良くなるため
インソールによる足部からの誘導も効きやすくなります。

多裂筋は腰部疾患だけでなく歩行を伴う下肢疾患にも大きく影響する筋肉です。

現代のライフスタイルから考えて機能不全を起こしている患者さんは非常に多いので

是非試してみてください!

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