こんにちはPTタイガーです!
今回の内容は、
「足部に影響を与える4つのモノ」
です。
その4つのモノとは
・地面
・靴
・インソール
・靴下
です。
これらは、すべて、足部への感覚入力に影響を与えます。
「硬い地面の上を裸足で歩くマサイ族」
「靴下を何枚も重ねてじゅうたんの上を歩く人」
この2人を比較したときに、
地面から脳に伝わる感覚、その感覚に対して出力される筋活動。
これらは全く違うものになりそうだと、想像できますよね。
私たち臨床家は、常に患者さんの身体に対してアプローチします。
例えば、変形性膝関節症の患者さんに対して
・運動療法
・徒手療法
・物理療法
を行う。
これはすべて直接的な身体に対する介入です。
一方で、その身体に影響を与えるモノについては、意外とおろそかになりがちではないでしょうか?
この4つのモノへの影響を考慮し患者さんと関わることで、間違いなく、個別性の高い介入ができるようになると私は思います。
それでは、具体的にこの4つについて解説していきます。
地面の形状
まず、一つ目です。
これはモノとは言えないかもしれませんが、身体に影響を与えるという意味で含めています。
ちょっとイメージしてみてください。
砂浜や柔らかいマットの上、スムーズに歩けますか?
一歩一歩、足が沈んで、歩くの大変ですよね。。
たくさんの岩や石がある岩場はどうでしょうか?
油断すると足首を捻ってしまうので、一歩一歩慎重に歩く必要があります。
砂地と硬い床を歩いたときのバイオメカニクスに関していくつかの報告があります。
・エネルギー消費、足の沈み込み、歩行速度に影響があった(F.Grant et al,2024)
・砂地でのトレーニングによって、回内足の人の歩行時に垂直・側方のピーク床反力が減少した(Jafarnezhadgero et al,2022)
これらの報告からも、地面の形状が身体に与える影響は大きいことがわかります。
靴(履き物)
続いては靴(履き物)です。
靴がどのように身体に影響を与えるのか。
これに関しては、世の中に無数の論文が存在しています。
・靴の種類
・靴のサイズ
・ソールの硬さ
・ソールの厚さ
・重量
などなど、靴を見る上では多くの変数が存在しており、
さらに、その靴を履いた結果として
・筋活動
・床反力
・関節モーメント
・エネルギー消費
・足底圧
など、さまざまな身体の反応を考える必要があります。
患者さんがどんな靴を普段履いているか、そしてそれが、どのように症状と結びつくのか、あるいは結びつかないのか、考えるのは臨床家にとって、非常に重要な考え方だと思っています。
靴に関して、一つ紹介したい論文があります。
1935年と今から約90年も前に書かれた論文ですが、非常に示唆深い内容が書かれています。
人間の足は、機械的な構造物としての奇跡であり、ほとんどの人にとって一生を通じて完璧であるべきものです。先天的な異常や重篤な病気、または怪我を除けば、痛みのない完璧な足は私たちが受け継ぐべき遺産であるはずです。しかし、この遺産は私たちの履物によって奪われてしまいました。この問題は、靴の製造者、解剖学者、そして医師の間での協力の欠如の反映であると感じざるを得ません。(James Mennell,1935)
これは、20世紀初頭の医療分野で特に物理医学と手技療法の発展に貢献した著名なジェームス・メネル医師の書いた論文の一文です。
今から90年も前にこういった問題提起をしている先生がいる一方で、現在この問題は解決されているのでしょうか?
これは、私たち臨床家にとって、考えなければいけない課題であると感じます。
インソール(オーソティクス)
そして靴の中に入れるインソールですね。
インソールに関してもたくさんの論文が、その効果や適応について報告しています。
比較的最近の論文でオーソティクスに関して、わかりやすくまとめたものがあったので、その一部を紹介します。
まずは、オーソティクスの目的です。
8つの目的が述べられています。
・衝撃の緩和と吸収
・足の敏感な部分へのクッション性
・異常に増加した足底圧の緩和(足底全体に圧力を分散)
・骨折治癒部位のサポートと保護(全接触コンセプト)
・剪断力の最小化
・柔軟な変形の矯正、サポート、安定化
・痛みを伴う関節の可動域制限
・固定された変形に対応
そして、オーソティクスの大まかな分類です。
このような大まかな分類を知っておくことで、対応する患者さんに適したオーソティクスは何か?を考えることができますね。
この論文はナラティブレビューといって、特定のテーマに関する既存の研究を広く網羅的に要約・解釈・評価したものです。
ここ数十年にわたる、結合組織障害、腱・靭帯損傷、足関節炎、神経障害、スポーツ関連の再発性損傷などの障害に対するオーソティクスの効果を検討した27件の論文をまとめて、評価しています。
そしてオーソティクスは、さまざまな急性および慢性の足部・足関節の保存療法に有効であると結論づけています。
靴下
最後はもっとも皮膚に近い靴下です。
靴下は、靴やインソールより見逃されがちだと思うんですよね。
でも、わたしは、足部に影響を与えるという意味で大切なモノだと思います。
靴下と一言で言っても、たくさんの種類がありますね。
用途
・普段使い
・スポーツ用
・防寒用
・医療用
機能
・アーチサポート
・足袋型
・5本ゆび
・滑り止め
・圧迫
などなど。
防寒用のもこもこした靴下と、スポーツ用のアーチサポートが付いたピタッとした靴下では、履いた感覚は全く違いそうですよね。
実際、靴下の種類を比較した研究ではこんなことが報告されています。
・アーチサポート、踵部分のパッドがある靴下は、通常の靴下と比較して、母趾の背屈が弱い力で可能となる(Gomez-Carrion et al,2024)
・ハイキングの際に、機能的な靴下を履くことで、怪我が少なく、皮膚温度が高かった(Pico et al,2019)
このような報告を見ると、靴下も決して無視できないモノという認識に変わりますね。
基本的に、日本人は家の中では靴を履きません。
もし患者さんが、家の中の生活が中心で、靴を履くことが少なく、毎日靴下を履いている。
こういった条件の人であれば、普段、どんな靴下を履いているか、確認することも大切だと思います。
まとめ
今回は、足部に影響を及ぼすモノについて解説しました。
・地面の形状
・靴
・インソール
・靴下
私たちは、常にこのような外的要因を受けて身体活動をしています。
そして、これらによる身体への影響は少なからず存在しています。
ぜひ、患者さんをみるときには、これらのモノがどのように身体に影響しているのか、考えてみてください。
そして、このモノの中心であるインソールやシューズに関して、深く知りたい、実際の臨床で使えるようになりたい、そう思っているのであれば、フォームソティックス・メディカルの取扱認定講習会を確認してみてください。
エビデンスに基づくインソールを取り扱えるようになります。
あなたの臨床の幅が一気に広がるはずです。
フォームソティックス・メディカルの取扱について
さまざまなインソールを今現在も提供している理学療法士として、あなたに自信をもってオススメできる世界的な医療用矯正インソール【フォームソティックス・メディカル】は、こちらで取扱が可能になります。ぜひ詳細を見てみてください。