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今更聞けない足関節背屈の評価

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「こんな質問初歩的すぎて聞けない」

「さすがに知らないって言いづらいなぁ」

「みんな知ってるけど俺知らないや…どうしよう」

臨床の場で同僚セラピストやセミナー受講時の会話で
こんな想いをしたことはありませんか?

私はめちゃくちゃあります!

周りの人が当たり前に知っていて使っているけど
自分は意外とそれを知らない・・・

なんかちょっと聞くにはカッコ悪いかも・・・

特に解剖学や運動学の世界では
知識は常にアップデートしていっていることが前提となっていることが多いので

結構聞きづらいときってありますよね?
(え?私だけですか?)

現場経験の年数が増えてくると
どうしても聞きづらくなる
でも知らないと臨床を深めることができない

そんな人のため

今回は「今更聞けない」解剖学や運動学の知識をお話していきます。

今回はその中でも「足関節背屈」についてお話していきます。

そもそも背屈制限ってどんな影響があるのか?

背屈制限に関わる動作はなんなのか?

どんな原因があるのか?

評価の考え方などを中心に 現場レベルで活用していることや基礎的な話をしていくので 知識の整理をしたい人にとってはお役に立てるかなと思います。

解剖学や運動学の知識を整理したい
苦手で避けてきた内容を改めて勉強したい

そんな人は是非最後までお読みください!

目次

足関節背屈制限の影響

この足病学ブログでも何度も出てきている背屈制限についてですが

実際この背屈制限というのは
どのような動作に障害・影響が出ているのか?

◯立ち上がり動作

◯座り込み動作

◯しゃがみ込み動作

基本的にはこの3つの動作に影響します。

これらを基本にスポーツ動作などの他の動作に応用していくので まずはこの3つを考えておければOKです。

<立ち上がり動作>

立ち上がり動作というのは、 初めに身体重心を前方へ移動させるため、股関節屈曲、骨盤前傾によって体幹を前方へ傾斜させ、そこから殿部離床をする直前に膝のわずかな前方移動と足関節の背屈に よって下腿を前方へ傾斜させます。

足関節の背屈角度が最大となることで臀部が座面から離床します。

しかし
この時に 足関節背屈制限があると
下腿を前方に傾斜させることができなくなります。

重心が臀部の基底面から足部の基底面に移動できなければ
股関節伸展、体幹の伸展が起きず立ち上がることはできません。

この場合
股関節を過度に屈曲させて、かつそこから腰椎を過度に伸展させて無理やり重心を前方に移動させる代償動作が起こります。

伸展性の腰部痛で悩む人は
こういった足部の背屈制限からきている可能性もあるということですね。

立ち上がり動作において足関節背屈の最大の役割は
重心を臀部の基底面から足部の基底面に移動させること
これを可能にするために必要な背屈可動域は10度以上とされています。

<座り込み動作>

正常な座り動作では
立位の状態から足関節の僅かな背屈と骨盤の僅かな後傾により
下腿が前方傾斜し膝関節の屈曲を補助します。

そこから骨盤の前傾によって体幹の前方傾斜が起こり
股関節と膝関節の屈曲をもって重心が下に下ります。

身体重心を下方へ移動させる際に生じる股関節の屈曲による体幹の前傾角度は
立ち上がり動作と比べると増大します。

これは着座における過度な後方への重心移動を制動するためです。

足関節背屈制限があると、
着座動作の重心の後方移動が制動できず強い衝撃がかかります。
若い人なら問題はないですが、高齢者の方ならその衝撃が椎体骨折に繋がる可能性もあります。

<しゃがみ込み動作>

しゃがみ込み動作においては
股関節や膝関節の屈曲可動域が必要になります。

動作を可能にするためには

股関節110度

膝関節147度

足関節20度

の角度が必要とされています。
(いずれも各関節の参考可動域の最大値ですね)

この動作における足関節の役割としては
足関節は背屈にして下腿を前傾させることで
身体重心を前方に移動させ、支持基底面内で安定したしゃがみ込み姿勢を保持することが可能です。

しかし

足関節背屈可動域が15度を下回ると
下腿の前傾が不足し身体重心が後方に残ってしまうため
支持基底面から外れてしまい後方へ転倒してしまいます。

代償として股関節を外旋させて骨盤を前傾しやすくさせたり、
踵を挙上させて見せかけ上の下腿前傾をさせるということがあります。
(これ結構多いと思います)

多くのアスリートは前方への素早い動きを求められるため
どんな態勢でも重心が後方に残らないようにします。

そのため背屈制限がある状態では、足部の外転や股関節外旋などが優位になり、
これが原因で他の部位に負担がかかることが多いです。

背屈制限に対する制限因子と改善方法の理論

足関節の背屈制限に関しては
原因となる因子がたくさんあります。

その中でも今回は

◯腓腹筋ヒラメ筋による制限

◯長母趾屈筋による制限

◯脂肪体による制限

◯遠位脛腓関節による制限

に着目します。

<腓腹筋ヒラメ筋による制限>

腓腹筋とヒラメ筋は足関節底屈筋力の80%を占めます。
腓腹筋やヒラメ筋は底屈筋群の中でも距腿関節軸から最も離れた位置を走行します。

走行位置から見ても他の筋に比べて強力な底屈作用を持つことがわかりますね。

腓腹筋は足関節肢位が一定であれば
膝関節伸展に伴い伸張されるため、膝関節伸展位では腓腹筋の伸張度が高くなります。

これにより膝関節角度を変えることで腓腹筋とヒラメ筋を区別してストレッチすることができます。
ヒラメ筋のストレッチは膝関節を屈曲して行い、腓腹筋のストレッチは膝関節を伸展して行います。

<長母趾屈筋による制限>

長母趾屈筋は

後脛骨筋、長趾屈筋、下腿三頭筋とともに底屈作用を持ちます。

長母趾屈筋は距腿関節軸が離れた位置を走行し、底屈作用が優位に働きやすく、臨床現場でも長母趾屈筋の伸張性低下が多く見られます。

長母趾屈筋は背屈時に筋腹が薄くなります。
この特徴から、背屈時に長母趾屈筋の筋腹が薄くなれるように下腿後面から手掌で押しながらストレッチすると効果的です。

<脂肪体による制限>

足部には、アキレス腱前、距骨前、踵骨下に脂肪体が存在します。

脂肪体は固定などにより関節不動状態が続くと脂肪体の萎縮や線維化が生じます。

アキレス腱前に存在する脂肪体はkagers fat padと称され、
踵骨、アキレス腱、長母趾屈筋から構成されるkagers triangle内に存在する脂肪繊維で、
関節運動や直接圧迫を加えることで形態が変化します。

足関節最大背屈角度が増すと、kagers fat padは尾側方向に移動します。
脂肪体が萎縮・線維化すると柔軟に形態を変えることができなくなり、背屈制限因子になります。

kagers fat padは四方八方に移動させて脂肪体の柔軟性を出していきましょう。

<遠位脛腓関節による制限>

距腿関節は距骨、脛骨、腓骨との間でできる滑膜性関節です。

背屈に伴って幅広の距骨全面が脛腓関節に入り込んでいくため、
背屈時には遠位脛腓関節は1mmから2mmほど広がります。

この遠位脛腓関節が広がらず、距骨の前面が入り込めないと背屈制限が生じます。

足関節は底屈位から背屈方向に動く際に腓骨は挙上するとされています。
下腿骨間膜の走行は背屈で下方から上方に移動します。
骨間膜の走行が移動することで遠位脛腓関節は開きやすくなりますので、距骨が入りやすくなります。

まず背屈5度以上獲得したい場合は、
遠位脛腓関節の開排を目的として
腓骨を挙上方向に誘導してあげると効果的です。

私が現場レベルで最も気にしているのはこの遠位脛腓関節です!

捻挫で腓骨につながる靭帯が緩んでしまったり
長時間のデスクワークから多裂筋やハムストリングスの機能不全に伴う長腓骨筋の張力低下は
腓骨(外果)を下から支えることができなくなり
腓骨が下方に落ちてしまいます。

そうなると
せっかく背屈の際に骨間膜が広がって、脛腓関節が開排しやすくなるのに
十分な開排空間を作ることができなくなります。

その結果
距骨が後方に滑走できず背屈制限になります。

疾患を持たない人でも
チェックしてみると結構多い現象です。
このケースは必ず背屈制限を起こしているので
当然しゃがみ込みや立ち座り動作で代償動作を引き起こしているため
今は症状がなかったとしても、いずれどこかに負荷がかかり続け痛みに繋がります。

明日から必ずチェックしましょう!

背屈制限は邪魔になるのでしっかり改善を!

これまで私が記事で出していた内容では

①他動的な可動域の改善 →「組織の伸長性不全」「関節の可動性不全」に対しての徒手的アプローチ

②重力下でのCKCでの可動性の確保

③コレクティブエクササイズで可動範囲内をコントロール

という流れで
エクササイズについてやモーターコントロールの考え方についてお話してきましたが

やはり大事なのは

①の他動的な可動域の改善

になります!

これが改善できていなけれな
どんなにCKCで動かしても、エクササイズをしても
いい動きは手に入りませんので、結局代償動作が重なって他の部位に負担がかかり障害に繋がります。

足関節背屈と言っても

ただストレッチしたり関節可動域訓練をすれば動きが変わるわけではありません。

いろんな原因があり、どこに注目してアプローチをすれば良いのかがわかっていなければ
せっかくのアプローチも十分な効果が出ません。

私もエクササイズ方法などのやり方に意識が向きがちだったので
原因について深められず良い効果が得られなかった時期があります。
(ちゃんと考えてなかった自分が悪いのですが・・・)

足部が苦手であったとしても

なぜその可動域に制限がかかるのかを理解できておければ
正しい改善アプローチが可能になります。

今回は改めてその確認のための内容になります。

足関節背屈制限に着目しての内容でしたが
底屈制限であったり、他の関節でも同じことが言えます。

今後もこういった今更聞けないような基礎的な内容を改めて深めていこうをポイントに
記事を書いていこうと思います。

「こういった内容が知りたい」
「この分野がわかりにくいから教えてほしい」

など
特に今更同僚や周りにちょっと聞きづらいなというような基礎的な内容が知りたい方は
是非JPA公式LINEにリクエストを書いていただけると嬉しいです!

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