こんにちはPTタイガーです!
今回から、P3ナビゲーターとしてオーストリアの足病医であるタリーシャ先生が書いたP3のブログ記事を深掘りして、解説していきたいと思います。
P3について詳しく知りたい方はこちら
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
このブログでは皆さんのこんな疑問を解決します!
・運動負荷の決め方がわからない
・負荷量の調整に関して、何を基準に決めて良いのかわからない
運動負荷量を決める際のヒントとなる記事になっています!
本記事では、タリーシャ先生のブログ記事「リハビリにおいてレップ数は大切か?」
より私たち臨床家にとって非常に重要な示唆のあるポイントを3つ抜粋しました。
そのポイントを私なりの考えを入れて解説していきますね。
今回の記事の元となるブログはこちら
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
その3つとは以下3つです。
1.レップ数に応じて身体への影響が異なる
2.創傷治癒段階は常に気を配っておく
3.患者と治療家の協働的なアプローチが重要
(P3ブログ:リハビリにおいてレップ数は大切か?より抜粋)
レップ数に応じて身体への影響が異なる
まず、私たち臨床家は、”レップ数に応じて身体への影響が異なる”
ということを認識しなくてはなりません。
一般的に筋力トレーニングに関しての強度と回数には以下のことが言われています。
ここら辺は、授業でも習いますし、一般的なトレーニングの知識としても良く知られている部分ですよね。
なので、まずはこの知識を持った上で
患者さんに対して運動療法を提供する際には、
「何の目的でその運動療法を行うのか」
ここが大切になるわけです。
「長距離を歩いているとだんだんとフラフラしてくる高齢者」
であれば筋持久力を意識したトレーニングが大事かもしれませんし、
「怪我の復帰に向けたアスリート」
であれば筋力UPを狙ったトレーニングが大切になってきます。
さらに、タリーシャ先生のブログにはこのように書かれています。
“ エクササイズが組織に過度な負荷を与え、怪我の悪化につながる可能性ある。
あるいは組織への負荷不足により怪我がぶり返す可能性もある。”
つまり、運動負荷は、過剰でも過小でも怪我につながることがあるということです。
極端に考えるとわかりやすいですが、
例えば極度に過小な負荷は「ベッド上の安静」を考えると良いかもしれません。
ベッド上の安静が、全身にどのように影響を及ぼすかは、皆さんもイメージがつくでしょう。
負荷が0に近い状態では、組織は萎縮してしまうのです。
反対に、過剰な負荷はどうでしょうか?
こちらは「疲労骨折」をイメージするとわかりやすいでしょうか。
ランニングやジャンプなどの繰り返す負荷によって
脛骨のような太い丈夫な骨であっても、骨に微細な損傷が起きてしまいます。
これらのことからも、レップ数を決めるポイントは
・何の目的でその運動を行うのか
・その人・組織にとっての適切な負荷はどのくらいなのか
が重要となってきますね。
創傷治癒段階は常に気を配っておく
続いて
「創傷治癒段階は常に気を配っておく」です。
これは本当に大事な部分で、
どの組織が、どのくらいの期間で、どのように回復していくのか
これによって運動負荷量を決めていく必要があります。
骨折直後の急性期に負荷をかけることはありませんし、
反対に、骨折から半年経っても何の負荷も与えなければ、
骨萎縮が進み、周囲の組織が脆弱になってしまいます。
各組織の回復について図にまとめてみました。
回復には個体差や損傷部位、が大きいため、これらはあくまで一般的な目安として捉える必要があります。
ただ、大まかな基準に関しては知っておくことが大切です。
以下の論文に各組織の回復期間がとてもわかりやすい表で書かれていますので是非見てみてください!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
そして、この治癒段階に沿って適切な負荷を与えていく必要があります。
急性期であれば、愛護的な運動から開始し、
回復期であれば、積極的な負荷をかけ、
そして慢性期になれば、患部以外の部分に対してもアプローチする。
この様に治癒の時期×組織を考えると、
必要な運動の負荷量もより具体的になります。
患者と治療家の協働的なアプローチが重要
最後は、
「患者と臨床家の協働的なアプローチが重要」
についてです。
簡単に言えば、患者さんとのコミュニケーションと信頼関係がとても大事、ということです。
この視点は、意外と見過ごされがちです。
例えば、こんなケースを考えてみましょう。
Aさんは今まで運動の習慣がなく、リハビリに対しても消極的で、痛みに敏感に反応します。
Aさんに、1日に3回、10セットの運動をするように指示したとします。
しかし、Aさんは3セット目で患部に違和感を感じ、そこで運動をやめてしまいました。
この場合、どう対処しますか?
・Aさんが痛みに対して敏感なことを考慮し、初めは5セットに減らす
・Aさんが主体的に運動に関われるように、運動の必要性を説き、10セットをやってもらう
これには正解がなく、Aさんの性格や背景を十分に考慮した上で判断する必要があります。
このように、どれだけ正しい運動やリハビリを提案しても、
患者さん自身がその必要性を理解し、積極的に取り組まないと、治療はうまく進みません。
結局、最終的に運動負荷を決めるには、患者さんとのコミュニケーションが必要になることがわかりますね!
まとめ
まとめです。
タリーシャ先生のブログから、3つの重要なポイントを挙げました。
1.レップ数に応じて身体への影響が異なる
2.創傷治癒段階は常に気を配っておく
3.患者と治療家の協働的なアプローチが重要
ここから考えた私なりの運動負荷を決めるポイントは以下の3つです。
・運動療法の目的を決める
・対象の組織の治癒段階を把握する
・患者とのコミュニケーション、信頼関係を大切にする
皆さんが運動負荷量を決める際の参考になれば幸いです!
もしあなたが、世界最先端の医学知識を手に入れたいなら
もしあなたが、
「リハビリにおける運動負荷をより明確に提示できるようになりたい!」
「患者さんとより良いコミュニケーションをとり、信頼される臨床家になりたい!」
「臨床家としてより高みを目指したい!」
そう思っているのであれば、ぜひこちらを見てみてください。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
エビデンスをもとにした世界最高峰の治療法が手に入ります。
参考文献
- Bertone AL. Principles of wound healing. Vet Clin North Am Equine Pract. 1989 Dec;5(3):449-63. doi: 10.1016/S0749-0739(17)30568-0.
- Leong NL, Kator JL, Clemens TL, James A, Enomoto-Iwamoto M, Jiang J. Tendon and Ligament Healing and Current Approaches to Tendon and Ligament Regeneration. J Orthop Res. 2020 Jan;38(1):7-12. doi: 10.1002/jor.24475.
- Shaw KK, Alvarez L, Foster SA, Tomlinson JE, Shaw AJ, Pozzi A. Fundamental principles of rehabilitation and musculoskeletal tissue healing. Vet Surg. 2020 Jan;49(1):22-32. doi: 10.1111/vsu.13270.
- Olsson A, Woxnerud K. Assessment of the fascia healing process after suture plication of rectus diastasis – measured with ultrasound at one, two, three and four months following surgery. Br J Surg. 2022 Oct;109(Supplement_7):znac308.194. doi: 10.1093/bjs/znac308.194.
- Rousselle P, Montmasson M, Garnier C. Extracellular matrix contribution to skin wound reepithelialization. Matrix Biol. 2019 Jan;75-76:12-26. doi: 10.1016/j.matbio.2018.01.002.
- Richardson M. Acute wounds: an overview of the physiological healing process. Nurs Times. 2004;100(4):50-3.
- Antohe BA, Rat M, Rață BC, Rață G. Muscle injury in sports activity – etiology, classification and treatment. Bull Transilvania Univ Braşov Ser IX Sci Hum Kinet. 2022;15(64)(2). doi: 10.31926/but.shk.2022.15.64.2.2.