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扁平足と他関節の関係性

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あなたが足部に興味のある臨床家なら、必ず見たことがあるであろう扁平足。

なんと、60歳以上の日本人、約1/4が扁平足であるという研究結果もあります。

今回の記事では、この扁平足が、歩行や、他の関節・筋活動とどのように関係しているのか、さまざまな研究によって報告されているので、その一部をご紹介します。

目次

扁平足の歩行パターン

1つ目の論文は、歩行中の関節角度を扁平足と正常足のパターンで比較したものです。

結果は、以下のようになります。

正常足と比べ扁平足では
●足関節: 扁平足群は、足関節の背屈、外転、内外旋の可動域が有意に小さい
●膝関節: 扁平足群は、膝関節の伸展、外転、外旋が小さく、屈曲が大きい傾向
●股関節: 扁平足群は、股関節の伸展、外旋が小さく、屈曲、内旋が大きい傾向
●骨盤: 扁平足群は、骨盤の回転可動域が大きく、骨盤の右回転が大きい傾向
(Marouvo et al 2021)

この結果を見ると、扁平足の人は、足部の動きが少なくて、逆に骨盤の動きが大きい。そして膝・股関節は屈曲傾向の歩容であることがわかります。

確かに、なんとなくイメージが湧く歩容かなと思います。

もう一つ、扁平足に関する論文の紹介です。

正常足と比べ扁平足では
女性
・足関節: 矢状面で最大相対モーメントが小さい
・膝関節: 立脚後期で矢状面の最大相対モーメントが小さい
男性
・膝関節: 立脚中期で水平面の最大相対モーメントが有意に小さい
・股関節: 立脚中期で内旋モーメントを示した
(Tomasiak et al 2022)

こちらは関節モーメントで比較し、さらに男女での違いを見ています。

女性は、足関節の矢状面上の関節モーメントが小さい、つまり足関節底背屈と膝屈曲伸展にかかる力を十分に発揮できていないイメージです。

男性は、立脚中期で股関節の内旋方向に力が働いていたというところは、1つ目の論文の結果ともリンクしている感じがします。

男性の扁平足と女性の扁平足では歩行パターンが違うという結果も興味深いですよね。

扁平足と膝関節の関係

続いて、扁平足と膝関節との関係です。

ここに関しても多くの報告があり、特に扁平足と変形性膝関節症の関係は、臨床的にも興味のある方が多いのではないでしょうか?

まず、扁平足と膝関節との関係を示す3つの論文の結果です。

・両側扁平足を持つ人は、そうでない人に比べて、膝の痛みや機能障害の程度がより重度である(Iijima et al 2016)
・扁平足は股関節の内旋可動域制限やQアングルの増大を引き起こす(Lee et al 2018)
・扁平足の程度が強いほど、内反膝の程度も強くなる(Ohi et al 2017)

この結果を見ると、確かに、扁平足があると膝関節にも何らかの影響がありそうですね。

ただし、変形性膝関節症と足の形態の関係について、多くの研究が行われているものの、まだ結論を出すには至っていない(Almeheyawi)といった報告もあります。

確かに、扁平足だからといって、全ての人が変形性膝関節症になるわけではないですし、ここら辺は、まだはっきりとしたことは言えないようです。

扁平足と股関節の関係

股関節と扁平足の関係性はどうでしょうか?

歩行中の股関節の屈曲/伸展、外転/内転、内旋/外旋の動きに有意な差は見られなかった(Fayez 2021)
扁平足の人と正常な足のアーチを持つ人で股関節の筋力に有意な差は見られなかった(Fayez 2022)

今度は、膝関節とは違い、関連がなかったという報告ですね。

あれっ?っと思った方。

そうです。ここで、最初の歩行との関連に矛盾が生じてきます。

歩行との関連の論文には股関節の可動域に違いがあって、男性は内旋モーメントに違いがあるという結果でした。

これに関しては、研究方法をはじめ、扁平足の定義がそもそも違うということも関連していると思います。

やはり、1つの論文の結果から全てを語るのは危険ですね。。

扁平足と体幹筋との関係

最後は体幹筋との関連です。

体幹筋との関連としては、体幹の側面の筋肉の持久力が低下していることが示されたが、体幹の屈筋や伸筋の持久力には有意な差は見られなかった(Faten 2020)という報告があります。

体幹の側面の筋持久力が低下しているという結果ですね。ここら辺は、解釈が難しいですが、足部と離れた位置にもなんらかの影響を及ぼす可能性を示唆しています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

扁平足が他の関節や足部以外の部位の筋活動と、どのような関係にあるのか。

今回の報告を見ても、「これだけだとなんとも言えないな」と思うのではないでしょうか?

私は正直そう思いました。

「扁平足だから〇〇」はあまりにも主語が大きい気がします。

研究手法や対象者、そして扁平足の定義をどのようにしているのか、まずここをしっかりと理解する。

そして、自分が対象としている方の扁平足にそれが当てはまるのか、当てはまらないのか。

こういった条件付けをしっかりとした上で、扁平足と他の部位の関係を見ていく必要があると思います。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました!

扁平足の評価も含め、もっと深く足部を学びたい方はこちらを確認してみてください。
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参考文献

Elataar, F.F., “Core muscles’ endurance in flexible flatfeet: A cross – sectional study,” J Musculoskelet Neuronal Interact (2020)

Iijima, H., “Association of Bilateral Flat Feet With Knee Pain and Disability in Patients With Knee Osteoarthritis: A Cross-Sectional Study,” Orthopaedic Research Society (2017)

Marouvo, J., “Gait Kinematics Analysis of Flatfoot Adults”, Appl. Sci. (2021)

Tomasiak, E., “Kinetic analysis of gait in adults with asymptomatic flatfoot”, Acta of Bioengineering and Biomechanics (2022)

AlAhmri, F., “Comparison of 3D Hip Joint Kinematics in People with Asymptomatic Pronation of the Foot and Non-Pronation Controls,” Malays J Med Sci (2021)

Alahmri, F., “The effect of isokinetic hip muscle strength on normal medial longitudinal arch feet and pes planus,” JML (2022)

Lee, K., “The Relationship Between the Range of Hip Rotation and the Quadriceps Angle in Subjects With and Without Flat Foot,” Phys Ther Korea (2018)

Ohi, H., “Association of frontal plane knee alignment with foot posture in patients with medial knee osteoarthritis”, BMC Musculoskelet Disord. (2017)

Almeheyawi, R., “Foot characteristics and mechanics in people with knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis,” BMC Musculoskelet Disord. (2021)

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