バレエをやっている子で前距腓靭帯あたりに痛みがある。
足部が内反傾向にあり、練習後に痛みがある。
仮説検証して色々実践していますが、先生の見解を教えて下さい!
こんなケースの相談をいただきました。
(細かい内容はここでは共有できないので、簡易的に書いています)
日本足病学協会には公式LINEにて「臨床相談」ができるコーナーがあります。
「臨床現場でわからない疾患やケースがあって困っている」
「歩行分析をしていて良くわからないから見てほしい」
少しでも臨床現場のお役に立てればと思ってこのコーナーを始めました。
臨床現場でお困りのケースがありましたら、
是非公式LINEに質問を投げてください!
今回はそんな質問コーナーで頂いた内容を基に
バレエ選手の足部の考え方についてお話します。
バレエ選手は動きや足部のポジションも特殊です。
そしてどうしても側部に障害を起こしやすい競技の一つでもあります。
日本足病学協会会員の先生の中には
バレエ選手のコンディショニングも多く経験されている繊維もいらっしゃいます。
「どうしても足関節の底屈位での維持が強要されてしまう」
これが一番悩みどころであると多くの先生方とも話しています。
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しかし
そんな特殊な競技だとしても、必要なフィジカルを整えることで
負荷や怪我を軽減できるようになります!
聞いてみたら
なんてことないような内容かもしれません。
ですが意外と抜け落ちているなんてこともあるかもしれません。
是非復習と思って読んでいただけると嬉しいです。
「バレエ選手見るのがはじめて」
「底屈時の痛みが改善しない」
そんな人は是非最後までお読みください!
緩みの肢位と締まりの肢位
バレエ選手でよくあるのが
「ジャンプの着後の痛み」
「長時間の底屈位の継続による痛み」
背屈時の圧迫ストレスと底屈時の伸張ストレスが主な要素になるかと思います。
大きな原因はまず底屈にあります。
基本的に我々は長時間底屈位で過ごしたり歩き回ったりすることはないですよね?
ですがバレエに゙関しては、長時間の足関節の底屈位が強要されます。
足関節の底屈というのは
足関節が非常に不安定な状態になります。
これは各関節にある「緩みの肢位と締まりの肢位」で考えます。
基本的にどの関節にも可動性が最も出やすい緩みの肢位と、
最も固定性が強い締りの肢位があります。
どちらが良いとかではなく、関節にはこのような特徴があるのです。
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そして足関節の緩みの肢位というのが底屈なのです。
すなわち、
バレエでは常に緩みの肢位である足関節底屈位の状態を維持しなければなりません。
締まりの肢位であれば、骨性の支持ができるので不安定にはなりにくいですが、
対して緩みの肢位の状態は文字通り可動性重視の緩い状態になるので、
支えには向いていません。
足関節で言えば、
この緩みの肢位である底屈位で身体を支えようとするのは、非常に不安定なのです。
この不安定さをどうにか支えるために筋肉の努力性が強まります。
ある程度筋肉で支持はできますが、
それでも荷重が続けばそこにもズレが生じてきます。
このときに多く経験するのが足関節の内反なのです。
まっすぐ底屈位を保持することができなくなってくると、
内反が強くなってくることがあります。
そうするとどうでしょう?
内反が継続されることで
それを保持しようとする前距腓靭帯には常に伸張ストレスがかかり続けますね。
そして底屈位で且つ内反や外反が入ることで
距骨は前方位かつやや内方もしくは外方に偏位します。
この状態では前距腓靭帯への伸張ストレスも増す上
背屈に必要な距骨の後方への動きがとれなくなります。
これがバレエ選手の足の痛みとなって出てくる可能性が高いのです。
私の患者さんのケースでも
底屈に伴う内反外反を抑え、距骨の動きの誘導をしたら
痛みが軽減するという経験が非常に多かったので、
この話をしています。
(他にも要素はたくさんあるので、必ず仮説検証作業をしましょうね)
ではどうすれば対応できるのか?
ポイントは運動学習とインソール
バレエのような特殊な動きやポジションをとる競技の場合
どうしても底屈の持続は必須になります。
(普通ならその体制を取らせないのだが・・・)
なので
以下に不安定さを減らして底屈位を維持させるか
が重要になりますね。
私がやっていたのは
◉内反にならないための腓骨筋の活性化(徒手療法とパッド)
◉カーフレイズで底屈と背屈両方の動きのコントロール
この2つです。
まずは前距腓靭帯に伸張ストレスがかからないようにするために
内反を抑える必要があります。
特に捻挫の既往歴がある場合はとくに重要になりますね。
まずはこの状態を作るためには
腓骨筋と後脛骨筋によるクロスサポートメカニズムの機能が必須です。
この2つの筋肉が働くことで、内反外反の動きを抑えた状態でカーフレイズが可能になります。
特に腓骨筋は前回の記事でもお話した通り、ハムストリングスなどの影響も受けやすいため
機能不全になりやすい筋肉です。
腓骨筋は特に収縮、滑走できるように整えましょう。
(必要な場合は収縮刺激を入れて張力を出しておきましょう)
そうすることで、前距腓靭帯への過剰な伸張ストレスを抑えることができます。
また、
日常的にも腓骨筋の収縮が必要ですし
外側に流れないようにするためには
立方骨の真下に1cm×1cmのパッドを貼ることで
外側への過剰な偏位を押さえてあげましょう。
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フォームソティックス・メディカルを使っている人は
そのまま本体の下にパッドを貼ってもらって大丈夫です!
バレエの時間よりももちろん日常生活の方が活動時間は長いので
インソールによるアライメントの調整は必須になります。
特に不安定性の高い底屈位が多いバレエの場合は
余計な偏位が起こる可能性が高いので、
普段からいいポジションを作ってあげましょう。
そして
カーフレイズで底屈と背屈のコントロールをしていきます。
台の上に乗って、そこから底屈と背屈までの動きを行うだけのシンプルなものですが
大事なのは内反や外反が入らないようにゆっくりコントロールすること。
セラピスト側でうまく誘導してあげることがポイントになりますね!
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これにより固有受容器に刺激を入れて、
運動制御ができるような状態にしていきます。
ただでさえ不安定なので、コントロールできる力をつけないと
足部はどんどん悪い方向へ偏位していってしまいます。
バレエの選手はこのトレーニングをめちゃくちゃやってもらってます。
この運動学習と、筋肉が使いやすいような環境づくりが
バレエにおける特殊で負荷がかかりやすい状態でも足部を守ることに繋がります。
なので
日常生活においてはインソールは必須です!
フォームソティックス・メディカルのようなアライメントを矯正して
位置感覚や運動感覚に刺激を入れていくことは
バレエの選手には特に重要なことだと考えています。
もしまだフォームソティックス・メディカル導入されていない方は
是非無料トライアルで試してみてください!