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クロスサポートメカニズムVS腱あぶみ

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こんにちは、PTタイガーです。

本日は「足外在筋の共同作用」についてお話しします。

テーマは2つ。
「クロスサポートメカニズム」と「腱あぶみ」です。

どちらも複数の筋肉が連携して、
足部の安定性やアーチ形成に大きく関与する重要な仕組みです。

 

まずはクロスサポートメカニズムについて解説します。

これは理学療法士の川野先生が提唱したメカニズムで、
長腓骨筋と後脛骨筋が足底で交差し、
踵を包み込むように働いて後足部を安定させる機構です。

両筋が足根骨を左右から締めるように作用することで、
後足部から中足部までを支える仕組みとなっています。

 

続いて「腱あぶみ(Tendon Stirrup)」です。

これは長腓骨筋と前脛骨筋の共同作用に関するメカニズムで、
両筋は第1中足骨底部と内側楔状骨に共通の停止部を持っています。

この構造により、両者が収縮すると横アーチを締めつつ、
内側縦アーチを持ち上げるようなスリングの役割を果たします。

「腱あぶみ」の名前の由来は、
乗馬時に足を安定させるための器具(あぶみ)に似ているためです。

 

では、ここからは関与する3つの筋肉それぞれについて詳しく見ていきます。

 

まず、後脛骨筋です。

足関節では底屈、距骨下関節では内転・内がえしという回外作用を持ちます。

特に注目したいのが「停止部のバリエーション」です。

舟状骨と内側楔状骨には全例で停止がありますが、
それに加えて、タイプ2では外側楔状骨、
タイプ3Cでは第2〜5中足骨、
タイプ4Cでは外側楔状骨・中間楔状骨・第1中足骨まで伸びるケースもあります。

このように停止部が広がるほど、
長腓骨筋と連携するクロスサポートメカニズムの影響力も強くなると考えられます。

 

次に長腓骨筋です。

足関節では底屈、距骨下関節では外転・外がえし、
そして第1列の底屈を担う重要な筋です。

通常は第1中足骨底の外側面と内側楔状骨に付着しますが、
より広範囲に停止するタイプや、
後脛骨腱と繋がりを持つタイプも存在します。

70%以上の人は教科書通りの付着を持ちますが、
一部には第1中足骨のみ、あるいは長母趾屈筋に結合するなどのバリエーションもあります。

 

続いて前脛骨筋です。

足関節では背屈、距骨下関節では内転・内がえし、
第1列では背屈を担います。

停止部は長腓骨筋と同様に第1中足骨と内側楔状骨が基本ですが、
一部には中足骨頭まで伸びる分岐も確認されています。

ただし、腱あぶみへの影響は小さいと考えられます。

 

ここからは、これらの筋が共同して働いたときの研究結果を紹介します。

 

まず、腱あぶみについてです。

前脛骨筋と長腓骨筋は、関節ごとに拮抗関係にあります。

距腿関節では背屈(前脛骨筋)と底屈(長腓骨筋)、
距骨下関節では内転・内がえし(前脛骨筋)と外転・外がえし(長腓骨筋)、
第1列では背屈と底屈と、すべて拮抗関係です。

そのため、両者が収縮すると互いに引き合い、
足部を横から挟み込むようにして安定化させると考えられます。

さらに、長腓骨筋は楔状骨を横切るため、
内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチの全てに影響を与える構造になっています。

 

次にクロスサポートメカニズムについて。

研究では、後脛骨筋と長腓骨筋を同時に収縮させて垂直荷重をかけた際、
後脛骨筋単独よりも足部の剛性が低下するという結果が示されています。

また、長腓骨筋の腱を引っ張ると後脛骨筋が緊張し、
逆に後脛骨筋を引っ張ると長腓骨筋が弛緩するという報告もあります。

これらの結果から、
両筋が共同で収縮すれば必ずしも足部の剛性が高まるとは限らず、
その作用は柔軟性や緊張の調整など多様な役割を果たしていると考えられます。

これは荷重の方向や歩行のフェーズによっても変化する可能性があります。

 

つまり、後脛骨筋と長腓骨筋の共同作用を
「必ず剛性を高めるもの」として捉えるのは早計です。

停止部のバリエーションや作用の関係性を理解し、
状況に応じた柔軟な解釈が求められます。

 

最後にまとめです。

前脛骨筋と長腓骨筋がつくる腱あぶみは、
共通の停止部と拮抗した作用により、
共同収縮によってアーチを持ち上げ、足部を安定化させます。

一方で、後脛骨筋と長腓骨筋のクロスサポートメカニズムは、
必ずしも剛性を高めるわけではなく、
個々の付着様式や荷重環境によって作用が異なることが示されています。

足部のアーチや剛性に対する外在筋の役割は、
臨床的に非常に重要な観点です。

今後は、長母趾屈筋や長趾屈筋といった他の腱についても、
その作用を掘り下げていく予定です。

より深く足部を学びたい方はこちらを見てみてください!
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