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身体負荷の許容量を超えた先とは?

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慢性あるいは複雑な筋骨格系の問題を抱えた患者やなかなか治療目標に到達しない患者がいるとき、もしかしたら許容量の問題かもしれません。  

というと、もしかしたら個人の負荷-許容量の方程式を考えずにマネジメントを実施している可能性があります。  

自分の場合、当てはまるかよくわからないでしょうか?

そういった場合は、これらの悩みがあれば、許容量問題の可能性が高いです。

身体リハビリテーションにおける許容量とはなんでしょうか?

最もシンプルな定義は、組織/器官/個人が耐えうる負荷の量の事を指します。

仮に各組織/器官/個人の負荷許容量を超えてしまうと、ケガなどの副作用が起こってしまう可能性があります。

このことに関して、臨床家が自分たち(と彼らの患者)を安売りしてしまうときは、耐容量と負荷は身体的かつ心理的なものである。ということを認識していないときです。

どうしてこの事柄が臨床家自身を安売りしてしまうのでしょうか?

慢性的疼痛への理解とこれらの事象を招くメカニズムをより知ることで、我々が日々見る臨床症例が完全に身体的要因によるものではないことに気づかされます。

疼痛と組織の状態の関係は痛みが持続するほど弱くなる。-Lorimer Moseley氏-

目の前に足底腱膜炎を訴える患者が二人来たと想定しよう。
一人は負荷が与える影響が大きいかもしれないが(グラフ右)、もう一人は心理社会的メカニズムを主な機序としているのかもしれない。(グラフ左)

仮にこの二人に同じ治療介入をしてしまうと(例:すぐにリハビリエクササイズをさせる、フットウエアを変える、衝撃波を加える、負荷に関するアドバイスをする)、この介入に対して二つの全く異なる結果が得られる可能性が高いです。

心理的あるいは心理社会的因子による疼痛の場合は、特定のエクササイズ、足装具、電気治療的介入よりも、安心化、思いやり、教育、ポジティブな健康関連の信念/行動へのコーチングを支援した方が、より効果を感じるかもしれないのです。

心理社会的メカ二ズムとは?

心理社会的メカニズム/障壁/因子について考えるとき、これらを私たちの「イエローフラッグ」と言います。

信念/統制の所在/破局的思考/ 痛み恐怖症/ 不安/ 低い自己効力感/ 対症療法/ 家族的要因

臨床的症状が心理社会的要因によるものが大きいとき、その患者のマネジメントは全く異なるアプローチが必要な場合があります。大前提として、どちらの患者も負荷-許容量方程式に異常があるためその是正が必要です。

しかし、過負荷をもたらす因子や許容量を増やす介入は個人によって異なります。当然ですが、症状を悪化させる要因も個人によって異なります。

(ヒント:現在悪化段階にある、慢性疼痛を主訴とする患者がいたときに、その悪化前に人生での出来事を調べることで、身体的・心理的負荷/許容量のどちらからアプローチすればよいかわかるきっかけになるかもしれないです。)

許容量を考える方法とは?

許容量を考える方法は割と直感的でシンプルです。

1.求められている許容量を考える
2.現在の許容量を考える
3.患者を現在の許容量から求めらている許容量へとシフトさせる介入/管理方法を導入する。

難解になるポイントとして、治療方法を患者ごとに個別化するときです。

しかし、私は最初の診察で時間をとって患者の病歴と背景を知ることができれば、最も適切な治療方法・介入を選びやすくなると考えています。

身体的 と心理的許容量の高め方

大部分の臨床家にとって身体的許容量の高め方は単純で、ストレッサーを用意して、それに順応する運動をさせ、それを繰り返すということになると思います。

では、心理的許容量は単純なのか、あるいはより複雑なのか?私自身は単純だと思っています。

心理的許容量の高め方とは?

心理社会的要因や心理的許容量を高めるにはソフトスキル(仕事をする上で土台となる個人の正確特性や行動に関わるスキル)が必要で、患者と治療の上で二人三脚になる必要性があります。

非言語的コミュニケーション
傾聴力
体性感覚の標準化(一般化)
目標設定
許容のためにエクササイズを処方
自己の身体への自覚度上昇
などなど

これはどう見えるだろうか?

考え方の変革

多くの臨床家が最初に躓くこととして、行動の幻想にとらわれることです。
これは何か物理的に介入などを行わなければ違いは出ないという考えで、傾聴力、非言語的コミュニケーションや患者が話が聞かれると自覚できるようなことをいうなど物理的でない介入も非常に重要な要素の一つです。
違いを生み出すすべてのものは自分が知っていることで、自分が何かしていると感じられるものではないのです。

決して物理的な療法(固定、マッサージ、徒手療法など)をしてはいけない、と言ってるわけではありません。
ここで強調したこととして、

a) 私たちのコミュニケーションスキルや話す内容は慢性的な筋骨格系の問題を抱える患者にとって、物理療法と同じあるいはそれ以上に重要な場合があります。

b) とりあえず何かをするために物理療法をしない。(芝居のようなヘルスケアをしない)

c) 患者ごとにマネジメントの方法が異なるべきで、個々人の病態、因子と治療目的を明確化させるべきです。

大学を卒業して、クライアントの身体的許容量を高める目的でエクササイズの処方/強さとコンディショニングに関する知識とスキルを高めなければならなかった多くの臨床家と同じように、私たちは患者の心理的許容量を高めるために多くのスキルを養う必要があるのです。

そうすることで、私たちは各患者に適した治療介入をして、許容量を高めて回復への道筋を立てることが出来ます。

人を治療するのであって、病気を治療するのではない。

最後に、私たち臨床家は患者個々人を人として認識して、傷病のみに注目しないことが、マネジメントとして重要な要素です。

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