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進化から学ぶ足の比較解剖

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こんにちはPTタイガーです!

今回のテーマは

ズバリ、「足部の比較解剖学」です!

比較解剖学というと、

あなたはどんなイメージを持ちますか?

・・・・

ひかくかいぼうがく??

それって何???

って感じですよね。。

まずは比較解剖とは何か?

から解説していきます。

目次

比較解剖とは何か?

比較解剖学とは

「生物学の一分野で、さまざまな生物体の構造を比較検討するものである。(Wikipediaより引用)」

と定義されています。

解剖学に関係する論文を読んでいくとわりと、出てきませんか?

「類人猿と猿人、ヒトの比較」

チンパンジーを代表とする類人猿と、ヒトの足を比較したとき、もっとも違いがある部位はどこだと思いますか?

全体的な共通点や相違点はあるものの、私としては、やはりアーチの有無ではないかなと思います。

この辺は後半に詳しく解説していきますね。

まずはヒトとの比較に用いられる代表的な種を紹介します。

図にあるように類人猿は3つの種が主に出てきます。

①チンパンジー・ボノボ
②ゴリラ
③オラウータン

それぞれ、二足歩行や四足歩行、そして樹上生活か地上生活かで、比較するのに用いやすいため、これらの種を選んでいると思われます。

そして、アウストラロピテクス(猿人)からホモ・サピエンス(新人)となるまでの進化の過程で、どのように変化をしてきたのか、も比較の対象になっています。

ここで類人猿とヒトの歩行を比較した分かりやすい動画を紹介します。

2分程度の動画なのでぜひ見てみてください。

全体像が掴めると思います。

↓こちらの動画

いかがでしたか?

こうやって比較するとヒトの歩行の特徴がより明確に見えてきませんか?

続いては、比較解剖学を学ぶ理由です。

なぜ比較解剖学を学ぶのか

私が考える、比較解剖学を学ぶ大きな理由の一つは、

「AとBを比較することで、Aの機能の理解が深まるから」

です。

例えばAだけを学ぶ場合、その情報をそのまま受け入れるだけで、単なる知識の蓄積にとどまることが多くあります。

でも、AとBを比較することで、なぜAがこうであり、Bがそうでないのかを考察する機会が生まれます。

これにより、両者の本質を理解し、背景にある法則やメカニズムをより深く掘り下げることができます。

比較することで「相違点」に目を向けることで、各事象の特有の特徴やその理由を理解しやすくなります。

また「共通点」を見つけることで、異なる事象に共通する原理や構造に気づき、それを新たな学びに応用することもできます。

このAとBをヒトと類人猿に置き換えてみます。

ヒト=二足歩行、地上生活

類人猿=四足歩行、樹上生活

この比較をしていくと、

ヒトが二足歩行で効率的に移動するために必要な機能が、より明確に見えてきそうな感じがしませんか?

なので、比較は単に知識を増やすだけでなく、思考力や分析力を鍛え、より深い理解へと導く重要な方法となります。

足部アーチの比較

それでは、ここから具体的に、類人猿とヒトの比較、そして猿人からの進化を解説していきます。

ヒトとサルの足部形態の比較で、もっとも特徴的であるポイントの一つ。

それは「ヒトにはアーチがあり、類人猿にはアーチがない」です。

まずは内側縦アーチの比較から見てみましょう。

ヒト:一般的に良く発達した内側縦アーチを持ち、長距離の歩行や走行に優れた効率性を示す
猿人:部分的にアーチが発達しており、木登りと地上での歩行に適応していたことを示す
類人猿:内側縦アーチがなく、舟状骨が大きく突出し、主に木登りに適応した足の構造を持つ

続いて外側縦アーチです。

外側縦アーチの最も特徴的な差は踵立方関節の動きになります。

ヒトは蹴り出す際に、立方骨の突起が踵骨にぶつかりロックがかかる構造になっています。

しかし類人猿では、踵骨が最初に地面から離れ、その後すぐに立方骨が地面から離れるという 2 回の蹴り出しを行います。

人間のかかとの持ち上げは、踵立方骨関節が固定される単一の動作として行われるため、推進時に中足部が地面に接触することはありません。

最後は横アーチの比較です。

横アーチは第4中足骨のねじれによって評価されます。

これは第4中足骨の骨頭の軸と骨底部の軸の傾きの差で計算します。

人では20°程度の差があるにも関わらず、類人猿はほぼ0°です。

横アーチは、内側縦アーチの硬度に40%以上関係しているとも言われているので、第4中足骨のねじれの形態がいかに、足部全体のアーチ構造に重要なポイントであるかがわかります。

ここまでがアーチ構造の比較です。

母趾の動きの違い

もう一つ、アーチの他に大きな違いがあります。

それは母趾の動きの違いです。

樹上で生活をする類人猿は、木をつかむために、母趾の可動性や動きが非常に大きくなっています。

これは、地面を蹴るための構造であるヒトの母趾との大きな違いになります。

動画で見るとわかりやすいと思います。

距腿関節の比較


距腿関節の比較ポイントは天蓋と内果の形状です。

ヒト:天蓋の形状が正方形に近い 内果は薄い
類人猿:天蓋の形状が台形をしている 内果は厚い

これは類人猿の方が、前方に遊びがあり、可動性が左右に高いことを示しています。

樹上生活をするために必要な構造であると言われています。

ヒトの距腿関節は、かなりはまり込みの良い構造をしていると言われているので、この違いは二足歩行をする、つまり垂直荷重をしても安定した歩行を可能としているポイントの一つと言えます。

ここで、面白いポイントが、この距腿関節の構造は、膝関節が現在のヒトの構造になってから、約50万年ほど遅れて進化したという点です。

同じ下肢の関節の中で、進化の時間が違う。

これは何を意味しているのでしょうか。

答えは分かりませんが、こういったことを考えることも、人間の進化や各関節の違いを考える上では興味深い点になりますね。

まとめ

今回の記事のまとめになります。

足部に関するヒトと類人猿の比較、そして進化について解説してきました。

やはり、人間の足は、アーチ構造と、安定した距腿関節、ここが重要なポイントです。

今回、私自身が比較をまとめたことで、改めてその意味、重要性が理解できました。

最後に、私は、この進化解剖学を学ぶもう一つの重要なことは、知的好奇心を刺激することだと思っています。

学ぶことは最高のエンタメです。

そして、一見、臨床に何の役に立つの?って思うことが、思いがけないことで、目の前の患者さんを救うきっかけになるかもしれません。

あなたの臨床のひらめきにつながる、今回の記事がそんなきっかけになれば嬉しいです。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

足部を基礎から学びたい、そう思った方はこちら
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