患者の治療計画を制作するにあたり、最も効果的なプランは臨床家が臨床的な治療の目標と患者自身の目標をうまくリンクさせることができる場合です。
臨床家がうまく治療目標と患者自身の目標を結びつけることができないと、
治療計画が失敗する危険性があります。
そうなれば
それは私たちの責任です…
診療や相談、カウンセリングの部分を早く終わらせようと、単に臨床家が思う最適な治療プログラムを指示することは、実は失敗へ近道です。
(例えば、「あなたはXYZの病態があるから、ABCの運動をしなさい。)
これらは患者の運動やエクササイズの経験、運動に対する好き嫌いなどについてのディスカッションが不足している状況で見られます。
そして、カウンセリングの最後に、一般的なエクササイズを数分間(もしできるのであれば!)提供されるのが普通です。
もしこのようなアプローチをあなたが行なっているのであれば、次の質問を投げかけたいと思います。
臨床家が治療介入にほとんど注意を払わなかったり、その重要性を伝えなかったりした場合、(例えば運動療法など)患者がその治療法が意義のあるもの、あるいは重要なものだと考えることを期待できるでしょうか?
患者の目標 vs 臨床的な治療目標
その違いは何でしょう? 患者の目標とは 、患者自身が達成したいことです。
例えば、ランニングを再開する、日常生活動作を自立して行う、などです。
臨床的な治療目標とは、患者の目標を達成するために、私たち臨床家が運動療法に求める生理学的または心理・行動学的変化です。
例えば、アキレス腱の硬さおよび/またはエネルギー貯蔵・放出能力を高め、週3回10kmのランニングに耐えられるようにすることです。
臨床的な治療目標とはどのようにして患者の現在の状態から、患者の目標とする状態に到達するかということです。
患者が何をしたいかを教えてくれて、
我々がどのようにするのかを教えるのです。
治療家が臨床的な治療目標を設定するためには、いくつか大事な要素をがあります。
何を what
臨床的な治療目標を立てるための最初のステップは、私たちが何に対処しているかを把握することです。
これには診断が必要です。(診断ができる場合の話で、必ずしも診断が必要なわけではありません。)
次に、治療的介入によって克服すべき能力ギャップがどれほどあるのか見極める必要があります。
言い換えれば、彼らの機能的な目標(到達したい運動/身体的目標)に対して、現在の能力はどの程度なのか見極める必要があります。
なぜ why
パズルのもうひとつのピースは、そもそもなぜ問題が生じたのかを特定することです。
そのためには、問題の発生につながった作用機序、原因因子、潜在的な危険因子を探す必要があります。
そもそもなぜ問題が発生したのか、を探ることを怠ると、a)治療が成功しない、b)傷害を悪化させ続けるなどのリスクを負うことになります。
どのように How
ここで私たちは、科学をうまく利用します。
WHATとWHYを結びつけるのです
どのように(How)を成功させるためには、いくつかの要素があり、これが成功の鍵となります。
教育 – 顧客が治療計画に積極的に取り組む上で、障壁となりうる知識のギャップは何か?
ヘルスリテラシー(健康観念)のレベル、病態/問題が発症した理由の理解、治療に関する個人の理解など、各々に数多くの知識差が存在する可能性があります。
目標設定- 小さな目標と大きな目標。
すなわち、短期的、中期(コンサル時の目標)と、長期目標(個人の全体的な目標)。
目標設定は、私たちが成功の可変的な指標に向かって努力するのを助けるだけでなく、私たちの治療介入に関連して、感覚を培うことを可能にします。
負荷の適用 – 筋骨格系の病態である場合、個人の目標達成を支援するためには、特定の組織における最も適切な治療を求められることが多くあります。
多くの場合は広範なアプローチを適応できますが、場合によってはより的を絞った運動療法が必要な場合もあります。
どのような治療的介入を行う場合にも言えることですが、臨床家には運動処方の効果がどのようなものであるかを理解する責任があります。
臨床的な治療目標と患者自身の目標のリンク付け
リハビリテーションの治療計画の立案には、通常5つの段階があります。
それぞれの患者に適した有意義な治療計画を立てるためには、それぞれの段階ではっきりさせておくべき重要な要素がいくつかあります。
カウンセリング
まずはカウンセリングから始めます。主に次のステップに関連する主観的な情報収集を行います。
この段階では、信頼関係の構築、患者自身の目標確認、関連する既往歴の聞き取り、潜在的な障害の特定、そして、患者の治療への期待の聞き取りに重点をおきます。また、診断(もしあれば)に至ることも重要です。
計画策定
計画策定のプロセスでは、患者自身の目標を臨床的な治療目標に結びつけます。
臨床的な治療目標とは、患者自身の目標を達成するために必要となる運動療法に求められる生理学的、行動心理学的変化のことです。
私たちは集めた主観的・客観的な情報を基に、怪我の種類、メカニズムや治療、心理的障壁、運動や健康リテラシー、選択するべき運動の種類や量、使用する機器や環境などを考慮しながら実践に移ります。
教育
この時点で、我々はすでに患者自身の目標と臨床的な治療目標に結びつけるための治療計画を制定しました。
次は患者の納得を得る段階です。
患者に納得してもらうためには、「何を」、「なぜ」、「いつ」、「どのように行うのか」を強調する必要があります。
– どの運動を行うのか?
– なぜこれらのの運動を行うのか?これが最も重要な部分です。
– いつ運動を行うのか?
– どのように運動を行うのか?
効果的に説明することが不可欠である一方で、過度に説明しすぎないことが重要です。
つまり、できるだけシンプルかつ明確に、簡潔に伝えることを目指します。
開始
教育と開始の段階は同時に行われることが多く、特に「どのように行うか』に関連してきます。
この段階で我々は、運動を実演(デモンストレーション)し、患者には実際に運動を行ってもらいます。
この開始段階の目的は、プログラムの具体的な内容を患者に理解してもらうと共に、プログラムを安全かつ効果的に実行するための知識とスキルを提供することです。
開始段階(このフェーズは)は、最終的な治療計画(エクササイズプラン/マネジメントプラン)を確定する前の「トラブルシューティング」のフェーズとも捉えることができます。
また治療計画を実施する準備が整ったかを確認するためには、次の質問を自分に投げかけることが有効です。
– オープンなコミュニケーションは取れているのか?
– 患者は「なぜ」(なぜこの運動を行うのかを)を理解しているか?
– 患者は臨床の場以外で運動(エクササイズ)を行うために必要な器具や設備を利用できるか。
実施
初回のカウンセリングを終えると、クライアントは次回の訪問までの間に、治療計画(エクササイズプラン・運動療法)を実施できるようになります。
この期間中、患者が治療計画通りに運動療法をを行うには、十分な動機づけや、運動環境の整備、進捗状況の確認、そして患者自身が目標に向けて頑張るためのレビュースケジュールの作成が重要です。
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この記事が、目標設定に関するニュアンスや、クライアントとの協力を強化するための戦略について、何か有益な情報を提供できたことを願っています。
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