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リハビリにおいてレップ数は大事なのか?

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Q:リハビリにおいてレップ数は大事なのか?

A:そうとは限らない

エクササイズを指示するときやリハビリプログラムを組むとき、多くの臨床家にとって最大の不安要素は、間違った治療を処方してしまうことが挙げられます。

多くの場合、この不安が臨床家を以下の3通りの思考に陥らせてしまいます。

1.とりあえず安全な方法として、3×10回にしてしまおう。

2.何も思い浮かばない…、ほかの人に聞いてみよう。

3.よくわからないが、とりあえず* マッサージや物理療法* をやっておけば大抵の場合患者の調子もよくなるから、それらをやってみよう。

もちろん、臨床上これらの3つの考え方が間違っているとは否定できない場面もあります。

確かに、3×10回が臨床家が処方すべき適正量の時もあります。

一方で、時としてこの回数でのエクササイズが組織に過度な負荷を与え、怪我の悪化につながる可能性もあります。あるいは組織への負荷不足により怪我がぶり返す可能性もあります。

確かに、患者にとって最適な選択肢は、彼らあるいは彼らの病態に即した専門家を紹介されることにあるのかもしれません。

一方で、あなた自身が最適な人物であることもあります。

確かに、マッサージや物理療法が治療の開始に最適な場合があります。

一方で、短期間での症状改善の一歩先に進んだ治療計画が必要です。

さて、エクササイズでの繰り返し(レップ)を考えたとき、レップ数に応じて身体への影響が異なります。

この違いに応じて、身体のエクササイズに対する身体の反応と順応が、エクササイズ直後と負荷にさらされてから72時間後では異なってきます。

リハビリプログラムがさらに進行したとき、負荷の量や強度がより重要になると私は考えていますが、これらについては今後の記事で紹介します。

それに対して、初期のリハビリにおけるレップ数の魔法の数字は…

治療目的を達成できるレップ数であり、その人物あるいは影響を受けた組織に悪影響を及ぼさない範囲での数字です。 さらに平たく言うと、最適なエクササイズとは本人が達成可能な内容のものとなります。

上記の結論について、すこし文献ベースでの話をするため、Michale Rathleffによる論文で足底筋膜症に対する高負荷筋力トレーニングの報告を取り上げてみましょう。

彼らが出した1例目の報告(足底腱膜症炎)に対する高付加筋力トレーニングは改善効果があると示した論文)に続く報告として、Rathleffらはこのトレーニング法で確立された運動プログラム通りに治療を行った群(運動プログラム遵守群)と、被験者自身で負荷を決定する方法で治療を行った群(自己決定型)でRCTを行いました。
その結果は12週の時点で差がありませんでした。(興味のある方は以下の参考文献を参照してください)

患者のリハビリにおけるレップ数以外の要素、例えば心理行動的要素などを考慮すると、運動量に対する患者と治療家の協働的なアプローチが非常に重要です。

一部の患者は何をしてほしいのか明確に指示してほしいことを要求する一方で、おおまかな枠組みと適度な指導でうまくいく人もいます。

個人に対する負荷の量や強度の決定は、難しい場合も多くあります。
その一方で、道しるべとなり得るいくつかの要素があります。

患者の病態あるいは創傷の治癒段階は何か?
 創傷治癒段階は常に気を配っておく!

これまでの患者の運動(療法)への理解、運動経験は?
 これまでエクササイズあるいはリハビリの経験があるのか?
 患者は動くことに楽しみを見出すような人物なのか?

その患者の痛みへの向き合い方とは?
 正常なものか?
 痛みにまつわる不適応な行動や信念はあるか?

最終的な治療のゴールとは何か?
 日常生活への復帰を目指すのか、高負荷な運動ができるレベルまで戻すのか?

上で挙げた要素は包括的なものではありませんが、リハビリの「負荷の量・強度」がどのようなものになるかをつかむ良い出発点です。

上記の要素は処方箋作成の初期段階において、非常に有益なものです。
では、患者が私たちと一緒にクリニックにいないとき、どのように自己管理や自己決定を手助けすればいいのでしょうか?

私はよくVAS-P(Visual analog scale of pain) を使用します。

リハビリで負荷をかけている間、その直後と翌朝に、私は患者へVASスケールの数値に従って運動量を決定するように指導しています。

 0-3の時:問題ありません

 4-5の時:あまり良くないが、まあ大丈夫

 6-10の時:すこし減らしましょう

私の患者への指示の出し方はより詳しく、秩序化したものですが、なんとなくイメージをつかんでもらえたでしょうか。

この情報があなたの役にたち、将来P3コミュニティで会えることを楽しみにしています。

参考文献

Rathleff MS, Mølgaard CM, Fredberg U, Kaalund S, Andersen KB, Jensen TT, Aaskov S, Olesen JL. High-load strength training improves outcome in patients with plantar fasciitis: A randomized controlled trial with 12-month follow-up. Scand J Med Sci Sports. 2015 Jun;25(3):e292-300. doi: 10.1111/sms.12313. Epub 2014 Aug 21. PMID: 25145882.

Riel H, Jensen MB, Olesen JL, Vicenzino B, Rathleff MS. Self-dosed and pre-determined progressive heavy-slow resistance training have similar effects in people with plantar fasciopathy: a randomised trial. J Physiother. 2019 Jul;65(3):144-151. doi: 10.1016/j.jphys.2019.05.011. Epub 2019 Jun 13. PMID: 31204294.

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