「インソールを入れたときだけ痛みが出てしまいます」
「インソールが合ってないのか痛みがある」
こういった相談は結構いただきます。
医療用矯正インソールであるフォームソティックス・メディカルは
足部アライメントを矯正して下肢への負担や動きの改善を目指すインソールとして
とても優れたインソールの1つです。
私自身もとても信頼して使っています。
そんなフォームソティックス・メディカルを入れてみて
「歩いていると痛くなる」
「インソールを入れていると痛いです」
このように患者さんから声があると
え?なんかインソール良くなかったのかなぁ?
このインソール微妙なのかなぁ?
とか心配になってしまいますよね?
フォームソティックス・メディカルにはもちろん慣らし期間というものが存在するので
その期間中には身体に違和感が出るなどのこともあります。
でもセラピストとしてはできるだけ違和感ない状態を作りたいですよね?
私もそうです!
せっかくインソールを入れたのに違和感があると
いくら慣らし期間とはいえなんか心配になりますよね?
大丈夫です!
そうならない方法がちゃんとあります!
そもそも
インソールを入れているときだけ痛い
ということには原因があります。
今回は
インソールを入れて痛みが出る理由と
痛みが出ないための手順
についてお話していきます!
インソールを扱うのが初めて
インソールがまだ苦手
もっと自信をもってインソール処方したい
そんな人にとってこの記事はお役に立てるかなと思います。
是非最後までお読みください!
インソールを入れると良く痛みが出る部位
結構多くの人から相談されるのが
「インソール入れているときだけ内側の中足骨あたりに痛みが出る」
特に外反母趾に近い足部アライメントをしている人は
こういったことが多いように感じています。
症状のない外反母趾の足部にインソールを入れた際に
痛みが出る可能性のある箇所は概ね3箇所
母趾外転筋
足底腱膜
母趾内転筋
このあたりは痛みが出るケースがありますね。
ポイントとしては
インソールを入れているときは痛みがあり
インソールを入れていないときは痛みがない
ということです。
これは何を意味するかというと
アライメントを変化させたことで軟部組織や関節が影響を受けたということになります。
基本的には
偏位した骨アライメントをフォームソティックス・メディカルによって矯正しているので
足部の骨アライメントは大きく変化します。
そうなると
骨に付着する軟部組織は
アライメント変化に伴い伸張もしくは短縮するなど変化が起きますね。
それそのものは全く問題ないことですが
アライメントが偏移していた期間が長ければ
付着している軟部組織も変化しています。
特に
母趾外転筋
足底腱膜
母趾内転筋
これらは外反母趾のような足部アライメントをしていると
組織そのものの滑走性が非常に悪くなります。
滑走性が悪くなれば、当然組織同士が癒着してしまい動きが悪くなるため
その状態のままインソールで正しいポジションに戻そうとしても
正しい伸張、短縮の動きができず
逆に伸張ストレスや圧縮ストレスを必要以上に受けてしまいます。
これではせっかくアライメントを修正したのに
痛みや違和感が増したり、正しい筋収縮や可動域も発揮できません。
これがインソールを入れてアライメントを戻した際に出てくる
患者さんの痛みや違和感の正体です!
外反母趾の治療ポイント!
外反母趾になりやすい人の解剖学的特徴は
●母趾外転筋は底側へ移動
●長母指伸筋腱と長母趾屈筋腱は外側に移動
●母趾の回内
●種子骨の外側亜脱臼
などが挙げられます。
更に
●距骨下関節回内
●ショパール関節外転
●縦及び横アーチ破綻
●母趾MTP関節支持性低下
●母趾内転・外転筋の機能不全(滑走不良)
●足底腱膜滑走不良
が臨床的には出てきます。
色々出てきますが
現場レベルではどんな順序でやっていけばいいかというと
- 踵骨の直立化
- 外側アーチ、内側アーチ、横アーチを引き上げる(インソールor靴下or徒手or筋トレ)
- 母趾の内転筋のリリース
- 母趾外転筋と足底腱膜のリリース
- 第1中足骨の回外モビライゼーション
- 舟状骨〜内側楔状骨〜1列の配列を整える
- 母趾外転筋のトレーニング
- 足趾全体の屈曲トレーニング
この流れでやっていくことをおすすめします!
エビデンス的には母趾外転筋・短母趾屈筋がとても有用ですね。
土台としての足関節を整えていく必要があるので、
アーチ機能UPしてST関節を整えます。
その後に足趾のトレーニングを行っていきます。
今回の話で言えば
母趾外転筋、内転筋と足底腱膜のリリースになります!
この痛みや違和感につながりやすい筋肉の滑走性を徒手的に改善してあげないと
インソールを入れてもトレーニングをしてもなかなか違和感が抜けません。
(もちろんトレーニングで収縮弛緩を繰り返せば滑走性は徐々には改善しますけどね)
多くの人がこの滑走性を出す前にインソールを入れてしまい
違和感や痛みを出してしまっています。
私も最初はそうでした。
滑走性を無視すると本当に怖いです・・・
逆に滑走性を出してあげると
今まであった違和感や痛みがスッと消失します。
これは現場レベルの経験ですが、滑走性を出す出さないでインソールの効果は全然違うのだなと感じています。
インソール療法を進めていきたい人は
同時に徒手療法として滑走性改善ができるようにしておきましょう!
足趾の自由は必須!
軟部組織の滑走性を出したらもう一つ大事な要素があります!
足趾の自由化です!
足趾が自由に動くことはとても大事になります。
そもそも論で考えてみても。
- 足趾が浮いている(浮き指。これは特に女性の小指に多いです)
- 足趾の筋力がMMT5じゃない(筋力低下)
は支持基底面を狭くします。
足部の支持基底面が狭いということは
足部からの感覚入力が減るということです。
人間の立位時の感覚入力の大部分(70%)は体性感覚である足部からです。
その足部からの入力情報が減るということは
立位バランスが低下し、姿勢の異常な緊張を生みやすくなります。
実際の論文レベルとして
- 足趾の屈筋筋力は歩幅と相関する
- 足趾の屈筋筋力は姿勢の安定性と相関する
- 片足立位と足趾の筋力は相関する
- 高齢者の転倒と足趾筋力は関連する
ということはわかっています。
つまり足趾は十分な可動域と同時に筋力が必要になるということです。
足趾屈伸筋群の強化とストレッチは足部機能全体を向上します。
シンプルに評価として
- 足趾がフルレンジで屈曲・伸展ができるか
- 足趾MMT5あるか
- 立位をとったときに足趾の代償運動や浮き指がないか
をチェックしましょう。
最終的には立位でしっかりと指が地面について、
指の筋力がMMT5までアップさせることが大事になります。
今回は文献的にも多く情報が載っているので
こちらに残しておきます!
- Dong Hun Suh, Hak Jun Kim, Jung Ho Park, Young Hwan Park, Bong Mo Koo, Gi Won Choi. Relationship between Hallux Valgus and Pes Planus in Adult Patients. The Journal of Foot and Ankle Surgery. 2020 Sep 12;S1067-2516(20)30345-8.
- Nasrin Moulodi , Fatemeh Azadinia , Ismail Ebrahimi-Takamjani , Rasha Atlasi , Maryam Jalali , Mohammad Kamali. The functional capacity and morphological characteristics of the intrinsic foot muscles in subjects with Hallux Valgus deformity: A systematic review. Foot. 2020 Dec;45:101706.
- Mohammadreza Fotoohabadi, Martin J Spink, Hylton B Menz. Relationship between lower limb muscle strength and hallux valgus severity in older people. Foot. 2020 Nov 23;46:101751.
- Eunsang Lee, Juchul Cho, Seungwon Lee Short-Foot Exercise Promotes Quantitative Somatosensory Function in Ankle Instability: A Randomized Controlled Trial Medical Science Monitor. 2019 Jan 21;25:618-626.
- Scott K Lynn, Ricardo A Padilla, Kavin K W Tsang Differences in static- and dynamic-balance task performance after 4 weeks of intrinsic-foot-muscle training: the short-foot exercise versus the towel-curl exercise. Journal of Sports Rehabilitation. 2012 Nov;21(4):327-33.
インソールをこれからもっと使っていきたい!
そんな人は是非憶えておいてほしい!
インソールの効果を最大限に活かすには、必要なフィジカルの状態があるということ
それが軟部組織の滑走性と足趾の可動性の自由化です。
これを憶えておくだけで
これから臨床がもっと面白くなりますし
もっとインソールで多くの人を救えるはずです!
是非明日から試してみてください!