足病医が筋骨格系疾患の治療をする際に用いられるアプローチには能動的(アクティブ)と、受動的(パッシブ)の2種類に分けられます受動的な治療とはつまり運動療法をベースとしない治療アプローチです受動的な治療には、鍼治療、マッサージ、手技、TENSなどの電気治療、レーザー治療、体外衝撃波などが含まれますこれら受動的な療法で得られる効果は素晴らしいですが、この治療メカニズムに関して共通している結果は、ほとんどの場合「痛みの軽減」ですしかし、このアプローチでは治療の本質的な意図からかけ離れてしまう場合もありますわたしたち治療家は「身体機能の回復」という観点を念頭に置くべきです先ほどの受動的療法の多くは神経系に働きかけ、痛みを操作することを主としていますしかし、例えば足底腱膜炎やアキレス腱炎のような疾患は患部の組織内で構造の変化が起きている状態ですこの場合、我々の体は機械的な刺激、つまり「動き」を必要としているのですなぜかと言うと、「動き」が組織の反応に働きかけ、本来の機能を修復させるのですここで誤解して欲しくないのは受動的療法が悪いと言っているわけではありません臨床で活用できるアプローチとして必要ですしかし、実際多くの治療現場を見てみると筋骨格系疾患の患者が痛みを訴えている場合、1つの受動的療法、ないしは複数の受動的療法を組み合わせて治療を行っている場合が多いですこの時、患者は一時的に痛みが軽減され数日間は快適に過ごせるかもしれませんがやがてまた症状が再発し来院しますそしてまた、別の受動的療法で痛みを軽減してもらいますこれでは、本来の「機能の回復」という治療ゴールにいつまで経っても辿り着けず、再発を繰り返してしまいますこのような場合に運動療法が功を奏するのです私は、受動的な治療法の役割は治療の幅を広げることだと思っています運動療法と上手に組み合わせ、有効に使うことができます運動療法の大前提は「痛みのある患者には負荷をかける前に痛みを落ち着かせる」ことですこの時に、鍼治療やマッサージなどの受動的療法の力を借りるのですはじめに受動的療法で痛みを軽減させると次に行う運動療法がスムーズに導入でき、この後の運動療法によって機能の回復に取り組むことができるのですこれは、文献でも紹介されている事実なのです言い換えると、治療家が陥りやすいのは患者の身体機能の改善に目を向けずに、目の前の患者の症状や痛みにばかりフォーカスしていると完治させることができない、ということですですから結論は、受動的療法と運動療法のような能動的療法の両方を組み合わせるのがベストなアプローチなのですどちらか1つのアプローチだけに頼りすぎると全体的な治療効果が得られないことがあります受動的療法を無視して運動療法を行うと患者は痛みのために運動が続けられないかもしれません繰り返しになりますが、この2つのアプローチを上手く使い分けて持続的な治療効果を目指しましょう
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